参りました。イベントはほとんど中止になり、ワークショップも中止せざるを得ない。対面販売の機会もなくなった。収入の道は閉ざされてしまいました、とA氏。「海外からのインバウンドのお客は絶え、観光ガイドの仕事は消滅しました」と英語力を活かしていたH氏は嘆く。講師で学校勤めのK氏は、生徒や学生に会えなくなったことが最もつらかった、と。多くの人たちが仕事に絶大な影響を受け、収入の激減に苦しんでいる。オンラインに切り替えた月例勉強会で、12月はコロナに振り回された2020年を振り返える座談会を行なった。
 中でも特に印象に残ったのはある女性。東京に出てきて15年間、実の母のようにお世話になった恩師ともいえる方が亡くなられました。在宅介護だったので最後の2週間は泊まり込み、ご自宅で人間が次第に弱り息を引き取る過程をみとらせてもらいました。在宅看護とは、人間の死とはと真剣に向き合う貴重な体験でした。
 2020年はまさにコロナウイルスの感染拡大に振り回された大変な年だった。日本だけではない。次第にこのウイルスの特徴が研究され、感染者の唾液の飛沫(ひまつ)が原因だと分かると、各国が入出国禁止や外出の規制に走った。人の移動を制限すればビジネスは停滞し経済は落ち込む。緩めれば感染は再拡大。感染防止か経済再生か、国によって対応策や時期は違ったが拡大は止まらない。感染初期には無症状の人が多かったり、ウイルスが変異して特徴が変わるなど、まさに捉えどころの難しいウイルスである。
 人と会えない、孫にも会わせてもらえない、お盆や連休に故郷にも帰れず、他県の車は警戒されて傷つけられたり、近所の人たちから苦情が出るので来ないでほしいなど、日本特有の相互監視の眼が光る。そんな中でも、手洗い、マスク着装などは徹底して習慣づいたし、読書量が増えた、ITの知識が増した、自然の観察眼が深まった、などの副産物もある。
 過去にも人類はさまざまな危機を乗り越えてきた。これを機会に今までの働き方や生活習慣を見直すきっかけにしたい。人間の英知を信じ、新年にはコロナウイルスを克服しよう。【若尾龍彦】

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