連休中に東京に戻るつもりだったのに、そんな状況ではなくなってしまった。万が一感染したら東京だと医療機関が逼迫しているし、地方にウイルスを持ち帰るのも心配だ。
 東京、大阪、福岡など11都府県に2度目の緊急事態宣言が出た。しかし「自粛疲れ」なのか慣れなのか、人々の危機感は前回ほどではないという。
 東京都民であり、地方在住でもある今の立場から思うこと。それは東京の人間がみな感染予備軍ではないということ。多くの人は外出を自粛し、テレワークをし、会食もせず基本的な対策を徹底している。
 一方で、感染者が少ない地方にいると、都会の人を受け入れる側の感覚も芽生えはじめる。ソーシャルディスタンスを意識する必要もないほど人が少なく、街は閑散としている。ただ新幹線の駅周辺には比較的人が集まり、カフェを利用する際には身を引き締めている自分がいる。
 感染は都会を中心に広がっているのは事実で、地方の人が心配するのも分かる。ただ、極端な考えや行動につながっているのは考えものだ。帰省した人や感染者の家族を差別したり誹謗中傷したり、「都民と接触したら2週間隔離」という自主規制も広がっているという。
 身近でもこんなエピソードを聞いた。友人の会社で年末年始に東京に帰省した社員がいた。それを聞いて警戒感をあらわにしたのは同僚の母親だったという。「どうして帰省したのか」「なぜ2週間自宅待機にしないのか」と会社にクレームを入れたそうだ。
 その地域は緊急事態宣言もなく外出自粛要請も出ていない。ましてや海外渡航でもないので2週間の自宅待機も当然要求されない。会社としては帰省者に感染対策の徹底や会食の自粛などを伝えていたというが、地方の高齢者の反応には驚かされる。
 都会でも感染者や医療従事者への差別や嫌がらせが大きな問題になっていて、きちんとした情報に基づいて判断し行動し発言することがより求められている。このままでは知らないうちに差別に加担しかねない。今一番求められているのは、相手の立場に立って考えること、そして、寛容さを持つことだと思う。【中西奈緒】

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