アメフトやバスケなどアメリカにおける巨大ビジネスを形成する大学スポーツ。選手たちの活躍で試合が大盛況になる。運営を総括する基盤の組織であるNCAA(全米大学スポーツ協会)は、そのTV放映権などで莫大(ばくだい)な収入を得てきた(コロナ前は10億ドル記録)。一方アマチュアリズム精神を掲げられた選手たちに対しては厳しく管理し、細かい規則を指導した。選手たちは、自分の肖像権使用による収入やスポンサーからの金品の譲受など長年禁止されてきた。奨学金や月間500ドルのお小遣いをもらえても、経済的に厳しい学生生活だ。
 1995年に全米大学バスケ選手権で優勝したUCLAのスター選手だったエド・オバノンが、2009年に「シャーマン法独占禁止法」違法としてNCAAに対して訴訟した。彼の名前や肖像を無償で使ったポスターで大会を宣伝したり、ユニフォームやビデオゲームが売れても本人には一切利益が還元されない。
 2014年にカリフォルニア州地方裁判所は、原告の訴えを認めた。不服のNCAAはその後、控訴したが、2019年、ニューサム州知事は「Fair Pay to Play Act」法案に署名し、2023年から、大学選手が収入を得られるようになった。その後NCAAは今年7月1日から、学生選手たちがNIL(Name=名前・知名度、Image=イメージ、Likeness=肖像)を活用しマネタイズ(収益化)を部分的にしても良い暫定的な方針を発表した。これで学生たちはコマーシャルやサイン会に出演し、SNSでマーケティングし、スポンサーと契約し、金銭的援助の譲受が認められた。
 しかし難題は残る。全米統一された連邦法にはまだ至っていない。選手による大学のロゴの使用を容認されるかの点も、州や学校の規則でバラバラで修正が必要だ。
 野心ある高校生インフルエンサースター選手たちは、金もうけもできる、全面解禁の州の学校に行きたがるだろう。時代遅れ的なNCAAや、プロ養成所でもあり教育機関の大学は、時代の流れに見合ったバランスの取れたルール作りを熟考すべき時期である。【長土居政史】

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