夏の富士山に登ることにしました。今年は登山渋滞もなくマイペースで登れそうだということで、登山バスで富士宮五合目まで登ると、湿気や熱気のある地上よりは明らかに気温が低く、雨も降ってきました。さっそく雨具を取り出して完全防備をし、ゆっくりと六合目に向かって登り始めました。富士登山では、木も日陰ももちろん湧水などもなく、ひたすら岩やゴツゴツした足場の悪い場所を進むので、登っている間は景色を楽しむというよりもひたすら歩きます。それでも九合目近くになると、万年雪が気持ちを癒やしてくれました。
 なんとか日が暮れるまでに九合目までたどり着きました。ここの山小屋で一泊し、早朝に頂上を目指します。富士山でも東京2020の聖火リレーがあり、この山小屋には聖火リレーで使ったトーチが飾ってありましたので、持たせてもらいました。重厚なトーチに、はるばるギリシャから運ばれた聖火が灯ったと思うと、以前オリンピアの遺跡に行って、実際に使われていた競技場で走ったことを思い出しました。
 寒い山小屋で眠れない夜を過ごし、暗いうちから頂上に向かいました。雨も降っていて、山の天気は変わりやすいと思っているうちに、朝日が差し込んできました。その陽の暖かさに包まれながら頂上にたどり着きました。頂上ではなんと晴天です。下界を見ると雲が覆っています。ああ雲の上に来ているのだ。確かに空気が薄いなと感じながら、日本で一番高い場所に立っている感動を、太陽の光を浴びながら感じました。
 登山中には多くの方々と逢いました。毎年富士山に登っているという94歳になる母と息子。外国の方も多く、沖縄にある米国軍基地の家族。英国のオリンピック委員会の方とも話をしました。お互いがオリンピックのTシャツを着ていたからです。富士山に登るということは観光ではなく、自分へのチャレンジです。苦しい思いをして頂上を目指している同士、エールを送りました。富士山に登ると、日本の美しさが分かります。そんな日本の良さを知っているのは案外、外国の方なのかもしれません。【朝倉巨瑞】

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