自宅で先日、新しいキッチンペーパーをつり下げ式ホルダーに設置しようとしたところ、両サイドがわずかに届かず、商品の小型化に気付かされた。近年、トイレットペーパーの幅が徐々に狭くなっていることには気付いていたものの、わが家のホルダーから落ちるほどではなかったので気にしていなかったが、キッチンペーパーについては今後、買う時に気を付けようと思った。
 その数日後、車を運転中にラジオでタイミング良く、「シュリンクフレーション」(shrinkflation)という言葉を知った。小売商品の価格やパッケージはそのままで、サイズだけをシュリンク(縮小)させる「隠れ値上げ」のことで、例のキッチンペーパーもその一つ。百科事典によると、「shrink」と「inflation」の合成語だという。
 私が最近気付いたシュリンク商品は、オレンジジュース。スーパーの棚に並ぶオレンジジュースがすべて一気に小型化していて、思わず伸ばした手を引っ込めた。これまでのサイズのものと並列はさせず、消費者が自然に購入するよう導こうとしているのだろうが、サイズの縮小はあまりにも明らかだった。
 メーカー側が商品の価格を上げる時、消費者から不満が出ることを承知で値上げするよりも、内容量を若干減らして同じ価格をキープする方が簡単なのだと、消費者運動家のエドガー・ドゥワースキー氏が6月1日付「ワシントン・ポスト紙」で述べている。不景気時などに人件費や運送費を節約したり、特定商品の需要が増えた時にも、シュリンクフレーション手法が使われ、コロナパンデミック中にシュリンクした商品も少なくないという。
 会員4100人を有する「シュリンクフレーション」に関するオンライン掲示板「Reddit」では、巧みに消費者をだまそうとする手法や、明白過ぎて笑ってしまう手法が随時紹介されていて興味深い。例えば、これまでの四角かったアイスクリームを、真ん中に穴を空けたドーナツアイスに変身させて新発売したり、60回分使えた洗濯洗剤が58回分に減らされていたりと、なかなか巧妙な戦略が写真付きで指摘されている。
 身近にあふれる「シュリンクフレーション」。消費者として、値段のみならず、内容量や品質の変化にも注意を払っていきたい。【平野真紀】

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