8月に87歳になった埼玉の高齢者ホームに住んでいる姉にお祝いのメールを送った。
 「姉上さま お誕生日おめでとうございます。着実に卒寿へと歩を進められていることを心からお慶び申し上げます。
 『日本資本主義の父』と呼ばれる渋沢栄一はこう言っています。
 『四十、五十は洟垂れ(はなたれ)小僧 六十、七十は働き盛り 九十になって迎えが来たら 百まで待てと追い返せ』
 すでに卒寿を迎えていた政治家のNさんにお会いした時、世界で活躍する80、90代の人の話をしたら『タカハマ君、人間は歳じゃないよ、今、何をやっているか、人間としてどう生きているか、だよ』と叱られたことを思い出しました」
 「コロナ、猛暑、大雨とNHKのニュースを見ると気が重くなります。しかし振り返ってみると、日本人(そして人類)は、これまでにも多くの天災地変を経験してきたわけですから何も今だけが異常だ、とは言えません。
 一喜一憂することなく、ここは泰然自若で、この地球上でのかたときの日々をゆったりと過ごすのが一番だと思っています」
 「ニクソン元大統領が『Seize the moment』(その瞬間をつかめ)というタイトルの本を著したことがあります。
 人間は与えられた一瞬一瞬を無駄にするな、という意味でした。私はこの言葉が好きです。
 ニクソンさんは毀誉褒貶(きよほうへん)の激しい政治家でした。クエーカー教徒の両親に厳しく育てられた人なのにウォーターゲート事件で米国民を裏切りました。孤独な人でこれといった趣味もなく、夜、一人でピアノを弾くのが楽しみだったそうです」
 「どうか、瞬間、瞬間をかみしめながら、さらに齢(よわい)を重ねていってください。私の唯一の姉として、この地球上に生まれてきてくださってありがとうございます。愚弟より」【高濱 賛】

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