先日、「一所懸命」と「一生懸命」の言葉を同じ頃に違う場所で見掛けた。
この二つ、意味合いは同じように使用されていたのでどう違うのだろうとちょっと調べてみた。
一所懸命(いっしょけんめい)はもともと武士が将軍などから賜った1カ所の領地を死守し、子孫に残すとの意味合いで使用したのが語源とあった。意味合いはもちろん「物事を命懸けでやる」となる。
一生懸命(いっしょうけんめい)は「いっしょ」が「いっしょう」と長音化し「一生」になったのだろうとのことで、意味はそのまま同じ「物事を命懸けでやる」ことだそうである。
意味合いが同じなのでどちらを使ってもいいと言えばそうなのだが、小さい頃に「一所懸命」と習った記憶があるので、いまだにそれが抜けない。
現在は「一所懸命」よりも「一生懸命」と表記・表現される場合が多くなっているらしい。
NHKメディア研究部の放送用語によると、放送関係は「一生懸命」で統一しているとのことだ。
おもな新聞関係でも寄稿などを除いてやはり「一生懸命」を使っているようだ。
僕ら古い人間は寄稿・エッセーであれば、今のところどちらを使用してもOKと理解しておこう。
では基本的に「一所懸命」はもう使わないのかというと、多くの辞書ではいまだ両方表記されているらしい。
「多くの」だからこれから新しく編さんされる辞書には「一生懸命」のみが載せられるようになるのだろう。ちょっと寂しい気がする。
言葉の移り変わりがあることは頭の中では理解しているが、やはり今まで使っていた言葉、言い回し、意味合いが変化していくのは仕方がないことか。他にも変化して(進化して?)いく言葉はまだまだありそうだ。
今の自分のように資産として家を構え、家族とともに生活することを考えると「一所懸命」かなと思うし、それを維持するためにはこれからもずーっと「一生懸命」働かねばならないのかなとも思う。【徳永憲治】