明けましておめでとうございます。
と気軽にごあいさつはしたものの、一体何がどれほどおめでたいのやら…。
新年早々文句を言いたくはないが、新型コロナウイルスは変異株の主流がデルタからオミクロンと変わっただけで一向に衰える様子はなく、せっかく楽しみにしていた家族や友達との年末年始の集まりもすべて取りやめて、玄関の飾りを手造りのしめ縄に変えただけで年が明けてしまった。
人が集まらないとなると正月料理も気合いが入らない。お雑煮だけは何とかまともだったが後はあり合わせの材料で、「お正月だけはきちんとしなければ」と叱ってくれる人がいなくなった気安さから手抜きだらけだった。
ガソリンを始め物価の上昇が著しく、近頃は食料品の買い出しに行くのが恐怖である。スーパーマーケットの従業員は値札の付け替えにさぞ忙しいことだろう。
全てをパンデミックのせいにするわけではないが企業は人手が足りないと嘆いているのに仕事に戻ろうとしない人も多い。
仕事はリモートで在宅勤務が当たり前、会議もズームで済ませられるし、出勤する必要などないのだと言われても、日本式に言えば後期高齢者と呼ばれる私など、私生活と就業時間の間に引かれる一線が見えないだけにどうも納得できない。就業規則そのものが、パンデミックだからの一言でゆるゆるなってしまっている。
街には銃撃事件や殺人、強盗、車の乗っ取り、毎日の犯罪件数はもう警察の手に負えないほどである。
社会生活のバランスがすっかり崩れてしまったような気がする。そして人々はこれらも含めて「ニュー・ノーマル」と呼ぶのだろうか。
確かにシニアは身体が動かない分だけ口うるさい。しかしこんなアンバランスな世の中で、置いてけぼりにされまいと必死になってついてゆくシニアの身になれば、多少のことは目をつぶってもらえるだろう。
文句ついでにもう一つ。オンラインによる買い物が増えて宅配サービスになったのは良いが、どこの家もゴミ箱は用済みの段ボール箱でいっぱい。どこまでリサイクルされるのか分からないが、ここでまた、昭和の「もったいない」の出番である。【川口加代子】