世界中が新型コロナウイルスに立ち向かった恐ろしい日々がようやく終わりに近付いているように思えほっとする矢先、それより恐ろしいことはいつでも起きうることを思い知らされた。
1年がかりで準備されていたという、ロシアのウクライナ侵攻。米国政府の「ロシアによる侵攻は今にでも始まる」との発表を何度聞いても半信半疑でいたが、認識不足にもほどがあった。連日報道されるウクライナの惨状は見るだけでつらい。
この2週間近く、大量のミサイルが撃ち込まれる画面を見たり、侵攻された部分を示す地図を見ていると、まるで大きな猫がネズミをいたぶっているように思える。ウクライナ大統領の「どうして世界は助けに来てくれないんだ」との悲痛な訴えが頭から離れない。
しかし、ここで他の国が参戦すれば、第三次世界大戦の始まりとなる可能性がある。万が一、いくつかの国の持っている核兵器が使用されることになれば、世界中に放射能をまき散らす核戦争になる可能性まであるだろう。だから、国連総会での非難決議ということになるのだが、いくら決議がなされてもロシアの撤退はないだろうという無力感に襲われる。
かつてのロシア帝国の再来を目指しているのではともいわれるロシア大統領、プーチン。その国民への説明は、ウクライナによるナチスのような侵略からロシアを守るために、ウクライナの軍事拠点のみを攻撃する特別作戦遂行中との由。これも恐ろしい。真実を告げず、都合の悪いことはフェイクニュースで片付ける。プーチンも、かつての日本も。
その結果、ロシアにいる父親でさえもロシア軍による砲撃でアパートががれきの山になっているとか民間人が犠牲になっているなどを信じず、いくら画像を送ってもフェイクニュースに違いないと言われるという、ウクライナ人男性の嘆きが今朝の新聞で紹介されていた。
同じように今、米国でインターネットや新聞の記事を読み、テレビのニュースを見る限りで私が得ている情報もまた、すべて真実との保証はどこにもない。それでも、ウクライナで起きていることは許されることではないと心底思う。【楠瀬明子】