コンクリートジャングルの東京でも、ちらほら梅や早咲きの桜を見つけるようになった。そのかわいい姿をカメラに収めずにはいられない。
隅田川沿いの遊歩道には散歩やジョギングの人たち。ベンチでお弁当を食べる人たち。オープンテラスのカフェやビアバーにはにぎわいが。うららかな陽気でとても平穏だ。
感染者数の減り方は緩やかだが、まん延防止等重点措置が解除されることになった。人の動きが活発になる季節。学校や会社などでは新年度がスタート。専門家はリバウンドを心配して感染対策を続けるよう呼び掛けている。気持ちが緩んでしまわないよう注意しつつ、この季節を楽しみたい。
最初の緊急事態宣言からまもなく2年。いまだにコロナが身近にあり、さまざまな制限があっても、普通に生活ができるのはありがたいこと。ウクライナのニュースを見ているとそう強く思う。
もしこれが日本で起きたら、と考えてみようとしてもなかなか難しい。確かにガソリンや電気代は高くなったし小麦価格の高騰で一部の食料品は値上がりした。近くにはしきりに飛翔体(ひしょうたい)を発射する国もあるが今のところ大事には至っていない。もしそれが花見客でにぎわう公園に落下し、桜並木を焼き尽くし、平穏な生活が脅かされる、なんてことを想像するのも現実的ではない。
テレビなどで話題になった日本人の発言がある。ウクライナは犠牲者を増やす前に降伏した方がいいのではないかという内容だった。日本人は平和ボケだと指摘されていた。
子どもも含め多くの市民が命を落としているのを知ると、戦わない選択をしてほしいと思う。そう思う日本人はあまりにも安易なのかもしれない。ナチスや旧ソ連による支配から、ようやく独立を勝ち取った国に再び訪れた侵略行為。自分の国は自分で守るんだという思いは私たちの想像の範ちゅうを大きく超えるものなのだろう。
そんなことを考えながらも、少しでもできることをしたい。信頼できる国際機関から寄付をする。より多くのウクライナからの避難民受け入れに賛成し支援する。一日でも早く彼らに平穏な暮らしが戻ることを願う。【中西奈緒】