コロナ禍も3年目に入った日本に先月到着した。過去2年と違い、今回は3回のワクチン接種などの要件を満たしていれば自宅での2週間の隔離が無く、ほっとして食料買い出しに走る。
 高知の海辺で魚を食べて育った夫は、日頃新鮮な魚を食す機会が少ないのを残念がっており、日本に着くとそれを食べたがる。幸い福岡の私の実家も海から遠くはなく、「道の駅むなかた」には、とれたての魚が並んでいる。私たちも新鮮な魚を求めてバスで道の駅に向かった。
 ところどころで見かける道の駅とは、一般道路沿いにある広い駐車場やトイレを備えた商業施設で、地方自治体と道路管理者が連携して設置し国土交通省により登録された道路施設だ。道路利用者には休憩や情報取得の場を提供し、地元住民には特産物販売などの場となる。1991年に実験的に設置が始まり、93年に正式登録されて、今では全国に1200近くあるとか。
 北九州市と福岡市のほぼ中間、玄界灘に面した松林を背に広がる「道の駅むなかた」は、2008年に開設。地元の採れたて野菜や特産品も人気だが、漁港のすぐそばとあって最大の目玉は新鮮な魚介類だ。水揚げされたばかりのたくさんの魚が、釣り上げた漁船名まで記されて店頭に並んではたちまちのうちに売れていく。売り上げは今、九州の道の駅として最大とのこと。
 道の駅に到着すると、すでに駐車場には多くの車が入り、午前9時の開店を待つ人で長い列ができていた。私のすぐ後ろに並んだのは内陸部の都市で、すし屋を営むという男性。夜明け前に起きて車を走らせ、海辺の2カ所を回って魚を仕入れると言う。大変ですねとねぎらうと、「今、日本のすし屋は、チェーンの回転すしとそれ以外の店とに二極化しています。町のすし屋は、特に吟味した新鮮な魚を使う高級店にならねば生き残れないのです」と答え、開店と同時に魚を選びに駆け出した。
 1皿(2貫)が100円少々で食べられる回転すしと、その何倍もの値段のすし屋が混在する今の日本。介護目的での滞在とはいえ、日本にいる間にいろんな形で新鮮な魚介を楽しみたいと思っている。(楠瀬明子)

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