大リーガーの中で、LAとOCエリアに住む地元日本人にとって誇りといえば、もちろんエンゼルスの大谷だろう。先週は「2桁勝利、2桁本塁打」というベーブ・ルース以来104年ぶりという快挙を成し遂げた。昨季は10勝目を目前にしながらシーズン終盤に登板を回避したのはホームラン争いでタイトルを狙ったためだろう。だが、敬遠攻めに遭い逃してしまった。今季は50試合を残し2桁勝利を達成。この後白星をいくつ積み重ね、そしていったい、どこまでホームラン数を伸ばすのか楽しみだ。
 代名詞の投打の「二刀流」は当たり前のように話されているが、容易にできることではない。どれだけすごいことか? プロ選手や解説者、評論家や記者なら知っていることだが、多くの一般ファンは理解していないだろう。投打の両立は試合で投手と打者を兼務するだけでなく、日々のルーティンもそれぞれこなさなければならないのだ。
 二刀流といっても中継ぎで登板したり下位打線を打ったりしているのではない。今季は開幕投手を務め、打撃では主軸として打線を引っ張っている大谷は投打とも超一流。100マイルの豪速球と、鋭く曲がって落ちる変化球を織り交ぜ、三振を取りまくり、2桁奪三振を6試合連続で記録。クオリティースタート(6回以上投げ自責点3以下に抑える)を毎試合のように達成するチームの勝ち頭は、奪三振、ホームラン、打点でもトップ。
 大谷の大活躍とは裏腹に、チームは超高給取りの選手が次々にけがで戦線を長期離脱するという不運に見舞われ低迷を続けているので、大谷はまさに孤軍奮闘している。貧打のチームは大谷の好投を援護できない苦境にあえいでいて、もどかしさは募るばかり。
 MVPを取った選手なら年俸は1千万ドルを軽く超えるのが常で、大谷の活躍ならその倍以上もらってもいい。だが、わずか550万ドルと報じられており、安すぎる。潤沢な軍資金があるチームは放っておかず、来季にフリーエージェントになるが早くもトレード話が持ち上がり、また盛り上がるのも無理ない。南カリフォルニア在住のわれわれとしては、もちろんこのまま、どこにも行ってもらいたくない。(永田 潤)

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