作品賞候補10作が発表された。5段階評価の個人的見解でレビューする。
 「イニシェリン島の精霊」2点
 高評価を得たアイルランド作品だが、多種多様の隠喩の意味が非常に難解。アル中にはなるな!というメッセージか?
 「逆転のトライアングル」3点
 カンヌ映画祭最高賞受賞。富豪たちの生活や思想を辛辣(しんらつ)に風刺するブラックコメディー。豪華客船が難破し、上下の人間関係が逆転するのが見どころ。底抜けに笑ったが、結局何がテーマか不可解。
 「西部戦線異状なし」3点
 第1次世界大戦の戦闘を、愛国心に燃える若きドイツ兵からの視点で描いた反戦映画。戦争はいかに悲惨で過酷で無意味かを伝える力作。
 「フェイブルマンズ」3点
 スピルバーグ監督の伝記的内容で期待が大きかっただけに、やや物足りない。若き頃、彼が受けた差別が現在でも生じる世の中に落胆してしまった。
 「TAR/ター」3点
 女性指揮者の音楽愛物語。中盤までは心酔するが、後半は尻切れトンボ的で多少困惑。権威者になると心が腐敗し、敵も増え、回生には原点に戻れ、というテーマか?
 「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」4点
 最先端映像技術を駆使した耽美(たんび)的エピック映画。異次元の世界に没頭できる現実逃避にもってこい。
 「トップガン マーヴェリック」4点
 これぞ究極のハリウッドアクション最高傑作。手に汗握る空中ドッグファイトシーンは迫力満点。
 「ウーマン・トーキング 私たちの選択」4点
 信仰深いコミュニティーで苦悩する女性たちの今後の希望と生き方を追求する。限られたロケ地でセリフ中心の演劇ドラマのようだが、飽きさせない秀作。小説が原作。
 「エルヴィス」5点
 本物のエルヴィスに見えてくる。主演俳優を絶賛したい。華麗なる大スターだが、人生終末期が切ない。感情が高ぶる感動作。
 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」5点
 クリエイティブ的に想像を絶する奇想天外なストーリー展開。ハチャメチャ・アクション・コメディー・ドラマだが最後はうまくまとまる異彩を放つ作品。
 授賞式は3月12日にハリウッドにて開催予定。(長土居政史)

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