米国のスーパーマーケットというと、店は面積が広く「質より量」の食品が棚に陳列されて、ショッピングカートに山のように食品を入れていく印象なのだが、私が住むニューヨーク市アストリアには無数の食材店が存在していて、小さな個人経営の店から、大きなチェーン店まで乱立して、買い物に困ることが全くない。
近所に、日本で言う八百屋に当たる食材店が通りを挟んで4店舗並ぶブロックがある。売っている野菜は同じようなものばかりなのに、どこも潰れることなく何年も続いていて、とても不思議に思う。言ってみれば、1ブロックに「McDonald’s」「Burger King」「Wendy’s」が並んでいるようなものだ。
食料品店同様、エスニック料理店の種類と数も本当にすごい。だからアストリアの街を散歩するのはとても愉快で、毎日のように新しい店を開拓している。そして、当然だが、各店にはそれぞれ特徴や傾向があって、次第にそれを学習する。ここはレタスが安い、今日はブロッコリーが安い、ここのデリのハムはお値打ちで質がいいとか、賢く買い物をするようになった。さらに、ここは車がなくても生活ができ、地下鉄も走っていて端から端まで6駅の距離があるものの、その気になれば、どこへでも歩いて行けて、健康にもいい。
また、ここは人種のるつぼという街がらか、日本の食材が入手しやすいのはありがたい。それくらい米国で日本食が定着してきた証拠でもある。ちなみにわが家はしらたきの消費量が多く、必須食品なのだが、日本食材店で198グラムのサイズが1・89ドル、米国系のスーパーでも買えるが2・99ドルとかなり高い。逆に二つ買うと1個当たり1・50ドルになるありがたい店もある。
買い物は1店舗で済ませられるが、幾つも巡る理由は他にもある。1店で100ドル使うより、5店で20ドルずつ買い物すれば、より多くの店の売り上げに貢献し、微力だがコミュニティーを支えるより良い経済効果をもたらすと思うからだ。
人間は習慣の生き物である。習慣になると買物も退屈になる。だから、私は目的を持ってスーパーマーケットを巡り、自分に合った健康法を楽しんでいる。(河野 洋)