戦闘や紛争、テロ、食糧難、飢餓、差別、人権、経済、環境など問題を抱え、混迷する世界情勢。問題解決のために先進国がサミットをはじめ大きな国際会議を開いて長々と話し合った末、非難決議や共同声明を出したとしても、相手が聞く耳を持たなければ意味はないと、ここ1年余りでつくづく思った。
 だが、そんな中でも、「戦後最悪」といわれ冷え込んでいた日韓関係が改善されている。相手国の政権が交代すると、2国関係はこうも良くなるものかと感心した。日韓両首脳ががっちりと握手。気品のあるファーストレディー同士の交流も最高だった。大統領夫人が点前でもてなしたが、韓国にも茶道があったことを知って親近感が湧いた。
 韓国政府は今週、海外在住の韓国人を支援する「在外同胞庁」を発足させた。在外韓国人の愛国心が増すのは間違いない。ちなみに同庁発足式が行われたのは、韓国の仁川(いんちょん)。兵庫県にも同じ漢字の仁川(にがわ)という町がある。以前は何とも思わなかったが、2国関係が改善中の今は「仁川」を目にすると、姉妹または双子都市のように思えるのが不思議だ。
 日本政府も在外邦人や日系人と交流しているが、支援は物足りなく思えていた。支援が増せば、民間の草の根交流もますます活発化するのに…。そう嘆いていた矢先にグッドニュースが流れてきた。政府は日系4世の「定住者」資格要件を緩和する方針という。期待は高まるばかり。
 同胞の世界での活躍は、特に海外に住んでいるわれわれにとっては励みになる。最も影響を受けるのはスポーツだろう。サッカー、野球、ゴルフ、テニス、バスケ、水泳、スキー、スケート、武道など、プロリーグや五輪、世界選手権などで優勝すると、身内のように喜んでしまう。その中で在米の日本人にとって身近なのが大リーグ。エンゼルスの大谷をはじめ、開幕から日本人選手は順調な活躍を見せてくれている。ただ1人、気になるのが調子を崩しているアスレチックスの藤浪投手。復調を期するのみ。(永田 潤)

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