お騒がせのジャニーズ問題。ファンには悪いが好き勝手を言わせてもらう。
 インターネット検索中に「ライブ記者会見」をヒットしてしまい、ついつい見続けた。気持ちがモヤモヤしてきたところで、質問者の1人から「事務所の名前を残すことは『ヒトラー株式会社』と名乗るのと同じことではないか」という趣旨の発言があり、「よくぞ言った」と胸がスカッとした。私はこの騒動を一芸能事務所の問題でなく、社会的な問題だと見ている。
 日本で男の子を育てた経験がある者として、もしも息子に「ジャニーズに入りたい」と言われたらどうしていただろうか、と考えずにはいられない。ところが、ジャニーズに子どもを預けた親からの「怒りの声」はあまり聞こえてこないように思える。
 同事務所の「特殊な事情」は、私が10代だったン十年前でさえウワサに上がっていた。息子は幸い「ジャニーズに入りたい」と言わなかったので、親としての後悔を伴うことになったかもしれない道は通らずに済んだが、子どもを入所させた親、あるいは履歴書を送ったことのある親は、今どんな心境にあるのだろうか。親たちは憤るべきだと思うし、万が一性犯罪を知っていながらJ氏に子どもを差し出した親がいたとしたら、裁かれるべきだ。
 普段は虫一つ殺さなくても、戦争に行けば銃を持って人を殺すし、自国が戦争をしなくても、武器や物資を送って間接的に加担することもある。芸能界という特殊な戦場は、どんな手段でも勝ち抜くべきだと考える人もいるのかもしれない。でも、そんな考えは間違っている。性被害の有無にかかわらず、ジャニーズのタレントさんは全員がセクハラ環境の自社を提訴したり、業界の改善を訴えたりして、人権擁護の旗を振るべきだと思う。フェアプレーをするための組合なども作るべきではないか。
 CM契約解除の動きが、世界の常識に照らして人権侵害を軽く考えるべきではないと企業が考えた上でのことだとしたら、それはいたってまともである。この騒動が英国BBCの報道から端を発したように、外圧がかからないと改革しないのは、明治維新以来の日本の伝統のようだから、インターナショナル企業の皆さんの一役に期待したい。(長井智子)

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