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世界の人にARIGATO

 紆余(うよ)曲折を経て、1年延期した上で開催にこぎつけた東京五輪が無事終わりホッとした。首都圏会場は無観客でスタンドはがらーんとして寂しかったが、他県では観客が入り、暑い中で選手を励ましてくれた。海外客を断り、日本人のおもてなしを見せることができず、ただ、ただ悔しい。 オリンピックは世界のアスリートが超一流の技や速さ、得点を競うひのき舞台。妙技に魅せられ、土壇場に追い詰められながらも諦めない大逆転勝利に何度も興奮させられた。 金メダルを懸けた決勝が、やはり一番おもしろかった。オリンピックチャンピオンは、一部で例外があるがその競技・種目で世界でただ一人。優勝者は美酒に酔って叫び、男泣きに私ももらい泣きをした。その陰で敗者が生まれるのが常。若い女子選手の悔し泣きは見るのがつらく、勝負の世界の残酷さを思い知らされた。 アメリカに長く住んでいても、やはり日本人を応援してしまう。知らない選手でさえもそうなる。日米決戦になった野球とソフトボールで、それをつくづく感じた。金メダルを首に掛け、君が代がゆっくりと流れる中、日の丸が掲揚される。胸のすく思いだ。他の国の人々も同じ気持ちで、母国の英雄を誇りに思ったことだろう。愛国心は、生まれ育った国に抱くものなのだ。 今回の東京大会から初めて採用された新競技に注目した。中でもスケボーは日本人が強さを見せつけ、発祥国のアメリカ人が顔負けするほどで、男子が金1、女子は金2、銀と銅各1と大活躍。女子のメダリストは全て十代で、金の1人のあどけない顔立ちの女の子は何と13歳。勇姿を見て憧れを持った子どもたちが、五輪を目指して競技を始めて、スケボー王国の座をずっと守ってもらいたい。  1年延期で我慢し5年の間隔が空いたため、次のパリ大会は3年待てばよく、選手は充電期間が減り大変だろうが、ご褒美と思おう。閉会式では「ARIGATO」と感謝の意を伝えたが、批判にさらされながら大会を成功に導いてくれた主催者に敬意を表したい。そして、選手と選手を支えた人、応援してくれた人、開催中止をうるさく叫び惨敗した人、世界の人に言いたい。「ARIGATO」【永田 潤】