授業中にノートをとる高校生は、日本では93%、アメリカでは89%だが、居眠りする高校生は日本が45%、アメリカでは21%—といった調査(「日本青少年研究所」)が出ている。
 読者諸兄姉も、退屈な授業、とくに昼食の後の授業で睡魔に襲われたご記憶があるだろう。
 なんとか寝るまいと必死にノートをとる。むろん教師の言っていることなど理解しているわけではない。
 作家の曽野綾子さんによれば、「ノートをとる」というのは、「真剣な勉学の一種の代償行為」だという。つまり「授業を聞き流しながら思考を停止している証拠」だというのだ。
 でもなぜ日本の高校生の方がアメリカの高校生よりも授業中、居眠りするのだろうか。
 日本で教えたこともある米人教師は、「アメリカでは、多様な教材やビデオやスライドを使う授業が主流で、しかも教師が日本のように一方的に喋りまくるのではなく、生徒に発言させる場が多いからだろう」と指摘する。
 つまりアメリカでは、生徒は授業の「観客」ではなく、「参加者」。だからおちおち寝てはいられないというわけだ。
 高校生向けの居眠り防止対策がウェブサイトに出ている。
 ①ガムを噛め②キャンデーを食べる③いたずら書きをする④筋肉を伸ばしたり、縮めたり、締めたりする⑤授業の前に仮眠しておく⑥手足の指や足首を動かす⑦寝そうになったら友人に肩を叩いてもらう⑧満腹状態ではなく幾分空腹気味で授業を受ける—
 もっとも授業中にガムを噛むのは、日本ではご法度だろう。
 別のサイトでは、事前の策をアドバイスしている。
 ①積極的参加を求めるクラスをとる②少人数のクラスをとる③集中して聞かねばならないクラスは午前中にとる④エネルギッシュで話上手な教師のクラスをとる⑤授業の前にカフェイン入りのソフトドリンクを飲んでおく—
 聖職者の霊験あらたかな説教を拝聴していても、ものの10分もしないうちに眠くなる今日この頃。授業中居眠りしていて、教師に思いっきり背中を叩かれた記憶が懐かしい。【高濱 賛】

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