参院選挙が終わった。膨大な無駄に終わった。
 日本国民=有権者は自らが〈ただムードに流されるだけの衆愚〉であることを再び証明してしまったようだ。あの小泉「自民党をぶっ壊す」選挙のときと同じように。衆院で民主党に圧倒的な議席数を与えた「政権交代選挙」のときと同じように。自分たちが何をしているかがまったく理解できないまま。
 自民党を圧勝させた小泉「郵政改革」選挙を次の衆院選で民主党に政権を与えることで無意味にしてしまったのと同様に、有権者はこの参院選で民主党に過半数を与えず、あの政権交代の意義をゼロにしてしまった。有権者は日本をどんな国にしたいのか?いや、そもそも、〈日本をこんな国にしたい〉という思いがあるのかどうか?
 たとえば、このまま少子化が進めば日本は50年後には、国の経済活動を支えるだけの労働人口がない、福祉に見放された高齢者がやけに目立つ、希望を失った若者が日々の暮らしに喘ぎ続ける、そんな社会になっているだろうというのに。日本が二流国に成り下がる恐れさえあるというのに。
 将来の日本をどういう国にしたいのか?国の肯定的な将来像を描くことに国民=有権者が無関心だから、政治家は、たとえば消費税をいつ何パーセント上げるか上げないか、意見がぶれたかぶれていないか、などといった事の枝葉末節しか語らず、そんな議論を繰り返すたびにますます愚かになっていく。愚かな政治家に迎合して全報道機関がますます無能になっていく。
 昨年の衆院選で、事実上、日本政治史上初めての政権交代を実現したのだから、この参院選では民主党に過半数の議席を取らせて、この国を本格的に動かしてもらおう、少なくとも次の衆院選までは民主党にのびのびとやらせてみよう、自民党政権下の半世紀には見えなかった何かが見え始めるかもしれない、とは考えなかった日本国民=有権者をどう表現したらいいのだろう?短気?未成熟?気まぐれ?無定見?
 この参院選は膨大な無駄だったと思うしかない。【江口 敦】

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