東日本大震災の発生から1カ月が経過した今、文化人をはじめ、多くの人が実際に被災地に赴き、物資調達や炊き出しなどの支援活動を行っている。ロサンゼルスからもまた、義援金を携え現地に向かった人がいた。
 日韓協会のキム代表は、大手救援団体に渡った義援金が被災地に生かされるまでに時間を要することから、ロサンゼルスで集まった寄付全額を、宮城県仙台市を拠点に支援活動を行う2つの民間団体に直接届けるべく、現地入りを果たした。そのうちの1つ、運輸関連の事業主が結成した「東日本大震災民間支援会」は、津波の被害を免れたトラックに物資を積み、直接避難所に届ける活動を展開。ガソリンと物資不足から、その活動も4月いっぱいで限界を迎えようとしていた矢先だった。
 宮城県庁によると、高齢者や身体障害者、言葉の壁がある外国人労働者からなる、行政が把握していない小さな避難所が数多く点在しているという。こうした地域では、外部からの侵入者による盗難事件が多発し、報道よりも悲惨な現状にあり、警察は町の入り口に検問所を設置した。
 こうしたなか、民間の非営利団体「東北被災者支援センター」は、片道1時間の道のりを毎日自転車で足しげく通い、孤立した人々を探しては物資を配り、復旧作業を手伝いながら悩みに耳を傾ける「心のケア」を行っていたという。
 海外から被災地に赴き支援するには多くの壁が立ちはだかる。海を隔てた地から「できることは何か」と心の中で葛藤を繰り返した人も多かったのではないだろうか。
 「助けたい」との思いから現地に行っても、憔悴した被災者との間に温度差が生じ、何もしてあげられないこともある。心理カウンセラーは現地に行く人へのアドバイスとして「ただそばにいてあげるだけでも大きな心の支えになる」と訴える。
 福島第1原発の除染対策や震災孤児など、日本が直面する今後の課題は山積みだ。しかし、実際に被災地に行けなくても、一人ひとりが復興に向け気持ちを1つにし、米国から支援活動を継続することが長期的なサポートにつながると信じている。【吉田純子】

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