社会、会社、スポーツのチーム、同好会など、人は何かに属している。そこで、要職に就いて他を引っぱり、各組織の発展を支えた立役者は称えられるべきである。そして、いつかは誰もが身を退く時が来る。世代交代で後進に道を譲る点でも、この引き際は非常に重要である。その時期を誤ると、見苦しくなる。たとえ大きな功績を挙げた救世主であっても例外を認めてはならないと思う。
 今、日本の首相がそれに直面している。内閣不信任決議案が出され否決されたが、退陣の岐路に立たされ辞意を表明。「やれやれ」と思わせたものの「一定の目処がついたら」などと、続投を高々と宣言、その時期を明確にせずにいる。
 退陣の翻意とも受け止められる言動が続き、早期退陣を迫られても、何のその。震災の復旧・復興、福島第一原発の収束に全力を挙げるとし「燃え尽きる覚悟で取り組む」とやる気満々だ。
 野党ばかりか、身内からも非難ごうごうで、まさに四面楚歌。でも、トップの座にただ居座っているわけでもないような感もする。政権の延命といわれているが、後々のことを考えてのこととも考えられる。一連の首相の発言は茶番劇に見えるが、与党の組織ぐるみの延命策だと見方を変えると、どうなるだろうか。
 もしこの大変な時期にすんなり辞めると、次期首相の船出は荒波にこぎ出すこととなる。復興対策をはじめ、山積する課題に取り組むのは極めて困難。時期政権がまたまた、中途半端な短命で終わる可能性は高く、そうなると怖い。だから、次を継ぐ人がしっかりと準備ができるまで、少しの間待ってもいいのではないだろうか。
 ここ数年で入れ代わった日本の首相は、著しい功績を挙げたとはいえないだろう。1年やそこらで政権が終われば、きちんとした仕事はできるはずはない。首相がころころと代わってもらうと困る。恥ずかしい限りである。これでは、外国との交渉がうまくいくはずもない。このたびの件で、リーダーの引き際を考えさせられた。【永田 潤】

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