福島の創作舞踊「白虎隊」
 南加県人会協議会(岩下寿盛会長)は、日本文化の継承者育成と東日本大震災の被災地支援を目的とした第33回「親睦演芸会」を21日、モンテベロのクワイエットキャノンで開催した。協議会に加盟する各県人会のメンバーが、約300人の来場者を前に民謡や踊りなど、故郷の伝統芸能を披露。文化継承者に対する奨学金授与式を開き、受賞者9人が気持ちを新たにし、さらなる精進を誓った。【永田潤、写真も】
民謡「豊年音頭」を披露する沖縄県人会の芸能部
 第1部の演芸会は、県人会協議会元会長の西タックさんが司会を務め、15の県人会から代表の芸達者たちが舞台に上がり17演目を繰り広げた。民謡に舞踊、三味線、剣舞など郷土色豊かな演技が続いた。参加した県人会の中には芸能部を持ち、新年会やピクニックで発表しており、この日もコーラスや歌謡曲、ダンスなど、熱のこもった演技で会場を盛り上げた。
 県人会協議会は、次世代を担う文化人の育成に力を注いでおり、これまでに計260人に奨学金を授与している。席上、今年度の受賞者への授与式を催し、各人に1000ドルのチェックと賞状が贈られた。岩下会長があいさつに立ち、前途有望な若い継承者への奨学金授与に胸を張った。「継続は力なり」の意義を力説し、「これからもそれぞれの分野で切磋琢磨し将来、日系社会、世界のリーダーとなることを切望する」とエールを送った。
 各来賓が祝辞を述べ、小田切敏郎領事は、県人会協議会の東日本大震災の支援に対し「長い期間の支援に心から敬意を表したい」と述べ、献身的な活動を高く評価した。奨学金制度については「30年以上にわたり途
滋賀県人会の日本舞踊「勝三郎連獅子」
切れることなく実施され、すばらしい」と称賛。受賞者に向けては、「日々の学業で忙しい中で米国社会で頑張り、日本の伝統芸や武道に精進するのは、かなりのエネルギーを必要とすると思う」と労いの言葉を掛けた。「今後ともそれぞれが日本文化の普及と、次世代の担い手として活躍することを期待する」と前途を祝した。
 受賞者を代表し赤星瑠奈さんが、きれいな日本語で謝辞を述べた。奨学金を授与され「これからの大学生活と日本文化の活動に大きな手助けとなる」と謝意を伝えた。米国で日本の文化や歴史に触れて学ぶことができるのは、各県人会が後世に伝える道筋を作って下さっているお陰であるとし、「私たちもその道が途絶えることのないように、日本とアメリカの懸け橋となり、日本の文化をアメリカの人々や次の世代に伝えたい。南加県人会協議会の名に恥じないように頑張りたい」と話した。
 ▽育英奨学金の受賞者は次の通り。(敬称略)
 杉本健太、紙本光司、北垣戸和真、大塚恵理華、堀大志、金川直樹、赤星瑠奈、饒平名京、河野廣則
9人の受賞者(後列)に贈られた奨学金の授与式。前列は、右から4人目から岩下会長、小田切領事、野崎住吉・育英奨学資金部部長

伊達めぐみが熱唱
演歌と懐メロで魅了

抜群の声量で熱唱した伊達めぐみ
 演芸会の第2部では、特別ゲストの伊達めぐみが、抜群の声量で歌い観衆を魅了した。京都で生まれ、東京で育った演歌歌手は、祖父と母親が香川、祖母は岩手、父親が京都出身であるため、各地方の良さと、日本各地の出身者が集まったこの日の来場者の気持ちを理解しており、選曲にもその心遣いがうかがわれた。
 1曲目は、懐かしい曲を集めた東京メドレーで来場者の心を捉え、福島の会津磐梯山と持ち歌4曲を熱唱。舞台を降りては歌いながら会場を練り歩き、手を振ったり握手したり、サービス精神旺盛で観衆とのふれ合いを楽しみ、アンコールにも応えた。持ち歌では、歌詞にある「よっしゃ!」の掛け声を参加者とともに連呼し、最高潮に達した。
 被災地の慰問に力を入れ、岩手県一関では復興支援のチャリティーコンサートを開いた。津波で壊滅的被害を受けた陸前高田では、盆踊りに参加。音頭のテープが1本しか残っていなかったため、同じ曲を何度も繰り返し唄ったという。被災地の現状を紹介し「支援の輪はまだまだ広げていかないといけない」と呼び掛けた。個人的には「折り鶴プロジェクト」を進めており、被災者が制作し、メッセージを添えた折り鶴を販売している。県人会協議会の復興支援活動を絶讃し「昨年からずっと支援をしている。被災者の気持ちをよく分かっていて、その活動に加わることができて光栄」と述べた。
 7曲を歌い終えた伊達は、参加者のサインと写真撮影のリクエストに応え「紅白に出てね」の励ましに「頑張って出ます」と恩返しを誓った。在米の日本人については「とても優しくて、私たちよりも日本人らしい」と感心し、「みなさんの演芸に対する思いや日本に対する思いを大切にし、この気持ちを日本に持ち帰って、いろんな人に伝えたい」と語った。
会場を練り歩いて歌う伊達めぐみ

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