なでしこ会主催の「成人式」に、あでやかな振り袖姿で出席した新成人
なでしこ会主催の「成人式」に、あでやかな振り袖姿で出席した新成人

あいさつに立つなでしこ会の佐々木代表
あいさつに立つなでしこ会の佐々木代表

 日本の伝統文化を広め、次世代へ継承していくことを目的に、ロサンゼルスでボランティア活動をしている「日本文化振興協会LAなでしこ会」(佐々木貴子代表、会員100人)は19日、トーレンスのホテルで成人式を催した。式は、在ロサンゼルス日本総領事館と国際交流基金の後援。
 会場には、今年20歳を迎える男女26人とその家族や友人ら多くが集まり、女性は華やかな振り袖、男性は羽織袴で正装し、新成人としての第一歩を力強く踏み出した。中には、留学中の娘の晴れ姿をロサンゼルスで見届けようと、わざわざこの日のために日本から駆けつけた家族もいた。
 参加者は1人ずつ名前が呼ばれ会場に入場し、ステージ上で自己紹介や将来の夢、初めて着物や羽織袴を着た感想などを述べた。「自分のホテルを建てたい」「レストランを経営するのが夢」など将来の目標を語る新成人もおり、会場からは温かい応援の拍手が送られた。
 急な日本出張により欠席となった新美潤総領事からは新成人に祝いの言葉が送られ、「昔の元服を意味する成人式は日本の四大儀式の一つで、大切な人生の節目。成人としての責任や義務、マナーを自覚する機会としてください」と諭すとともに、「日本国籍を有する人には国政選挙に参加できるので総領事館で手続きを」と呼びかけ、最後に「家族や友人、先生方へ感謝の気持ちを忘れず、夢に向け幅広い教養を身に付け、世界にはばたける人材となってください」とエールを送った。
新成人を代表し、礼を述べるトッドさん
新成人を代表し、礼を述べるトッドさん

 来賓からも祝いのメッセージを受け、サンディエゴ州立大学で経営学を専攻する亜璃紗トッドさんが新成人を代表し日英両語であいさつ。アイルランド人の父と日本人の母のもとオランダで生まれ、週末に日本語学校へ通った生活を振り返り、「当時は、なぜ日本語の勉強が必要なのか理解できなかった」が、その後、アイルランド、アメリカと引っ越しを繰り返す中、「どこに住んでいても変わらないのは自分が日本人で、そしてそれを誇りに思っていることに気付かされた」と述べ、海外にいながらにして日本文化を学べる機会を与えてくれたなでしこ会にあらためて礼を述べた。
 同会の佐々木代表は、「文化は人が作るもの。皆さんがいつか父となり母となった時、今日のこの体験と着物の素晴らしさを子どもたちにも伝え広めてほしい」と述べ、「人は1人では生きていけません。いい仲間を見つけて」と言葉を送った。
 昨年に続き今年で2回目となった式を終え、佐々木代表は、「20歳は今しかなく、華やかな振り袖を着られるのも限られている。この時しか着られない美しさを、ぜひロサンゼルスでも体験してもらいたい」との思いから当地での成人式開催を始めた。40着の振り袖、5着の羽織袴を所有しており、今年の参加者26人中23人が同会の着物を着用し、同会会員がボランティアで着付けを担当した。「この一日のために一式をそろえるのは大変なこと。その上、着方が分からない人が増えており、それらが着物を着る機会を減らしている原因」といい、その負のサイクルを打破する意味も込め、着付け教室や着物体験デモンストレーションなどを催し、より多くの人に着物をはじめとする日本の伝統文化の知識を持ってもらい、その素晴らしさをもっと身近に感じてもらいたいという。
 同会の活動内容は「日本の伝統文化の普及」で、着物だけにとどまらない。現在も、茶道や華道などさまざまな分野ともつながりを深めつつあり、文化を通じた活動をさらに広めていきたいとした。現在NPOの申請を行っているが、主婦やOL、学生が主な会員の同会は活動資金がないためファンドレイジングを行い、成人式のイベントをはじめその他活動を支えている。
 なでしこ会の詳細はホームページで―
 www.nadeshikokai.org/
【中村良子、写真も】
振り袖、羽織袴姿で来賓らと記念撮影に納まる新成人
振り袖、羽織袴姿で来賓らと記念撮影に納まる新成人

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