テクノロジーの発展と共に「テレビを見る」という概念は革新的な変化を遂げている。
 スマートフォンやタブレットで、いつどこでも好きな番組が気軽に見られる時代になりつつある。
 ここ数年、急速に伸びているのがネット配信だ。オンラインTVコンテンツ・マーケットで63%のシェアを持つNetflixは、自ら制作費1億ドルをかけ、政治サスペンスドラマ『House of Cards』を製作。昨年2月に13エピソード(1話46~59分)をストリーミング配信にて一挙公開。「全て一度に」という新たな戦法と、この話題作を見たいがために契約者が一気に増えた。
 ハリウッドのトップタレントを起用し、ケビン・スペイシー、ロビン・ライトが主演、デビッド・フィンチャー(「ソーシャル・ネットワーク」「ドラゴン・タトゥーの女」)がエピソード1&2を監督(兼エグゼクティブ・プロデューサー)した。
 TVのエミー賞の監督部門、撮影部門を獲得し、主演女優、主演男優部門もノミネートされ評判が高い。既に3シーズン目の制作が発表された。
 Netflixは契約世帯者数が全米で3300万人(全世界4000万人)の最大手に成長。株価も上昇中。
 今後もメジャースタジオからの作品を配信放送権するだけでなく、質の高いオリジナルコンテンツを独占的に提供するプレミアムを目指す。HBO(ペイケーブルTV)のインターネット版だ。
 1997年に設立されたNetflixは、郵送によるDVDレンタル・サービス事業で始まった。今は定額制のSVOD(Subscription Video on Demand)という従来とは異なるシステムで、世界マーケットに向け展開し続けている。
 アメリカでは、比較的料金の高いケーブルTVの契約世帯数が減少。4大ネットワーク(古参のABC、CBS、NBCにプラスFox)の視聴率も総合的に下降気味だ。この傾向が続けば、地上波のテレビが消えて、全てがオンラインに取って代わる時代が来るかもしれない。
 詰まる所、視聴者(消費者)は良いコンテンツを安く都合よく見たいのだ。今後の動向が注目される。【長土居政史】

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