米国デビューを果たしたももいろクローバーZ
米国デビューを果たしたももいろクローバーZ
 世界で人気のアニメや漫画、コンピュータゲームなど、日本のポップカルチャーをテーマにした北米最大のアニメコンベンション「アニメ・エキスポ」が2日から4日間、ロサンゼルス・コンベンションセンターで開催され、過去最多の延べ26万人が来場し盛況を極めた。特別ゲストの日本の人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ」がライブを行い、米国デビューを果たし、24回目のエキスポに花を添えた。【永田潤、写真も】

賑わうアニメ・エキスポの会場
賑わうアニメ・エキスポの会場
 日本からゲームのクリエーター、アニメは監督やプロデューサー、作家、声優、主題歌を歌う歌手などゲスト約30人が招かれ、作品の上映会や、制作発表会、トークショー、サイン会などを開き、ファンが各会場を埋めた。コスプレコンテストやカラオケルーム、メイドカフェなどが設けられ、それぞれ盛り上がりを見せた。
 500近いブースが並び、ポケモンや進撃の巨人、マリオブラザーズ、ファイナルファンタジーなど、多種の人気作品が紹介された。DVDやコミックブック、ポスター、縫いぐるみ、Tシャツなど各種のキャラクターグッズが売り出され賑わいを見せた。
 会場ではまたアニメ・エキスポには、なくてはならない、コスプレーヤーが練り歩き、独特の異様な雰囲気を醸し出した。お気に入りのアニメやゲームのキャラクターに扮して、ヒーローやヒロインに成り切った。凝ったコスチュームに銃や、刀、手裏剣、甲冑を身につけるなど本格的だ。写真撮影のリクエストに、お決まりのポーズを決めたり、決め台
根強い人気のドラゴンボースZのコスプレ
根強い人気のドラゴンボースZのコスプレ
詞を叫ぶなどして、無数のフラッシュを浴びて快感に浸っていた。
 日本の地域活性化や、各種キャンペーンなどで活躍する、ゆるキャラも登場した。兵庫から招かれた「ちっちゃいおっさん」は、はげ頭に腹巻き、突っ掛けというユニークな中年男性の風貌から人気を集め、参加者と写真に納まったり、舞台であいさつするなど、人気を集めていた。
 アニメ・エキスポは年々規模を拡大し、今年の延べ来場者数は昨年比で18%増、約9万500人の伸びを見せ、延べ26万7千人を数えた。マーク・ペレスCEOは「今年は、これまでで最高の内容で成功を収め、日本の文化のプロモーションをすることができた」と胸を張った。来年の25回記念について「最大のお祝いをして、ファンを迎え入れたい」と意欲を示した。
 アニメ・エキスポは、独立記念日の週の風物詩としてファンの間で定着している。来年は7月1日から4日まで同所で開催される。

アニメファンとふれ合い
ももクロ、心を通わせる

 ももクロのメンバーは、公演前日に記者会見を開き、本番への意気込みや今後の方向性、米国のアニメファンについて語りまた、ももクロファンにメッセージを送った。
 5人は揃ってエキスポの会場を訪れ、来場者にライブのフライヤーを配り、アニメファンとふれ合った。コスプレーヤーに話しかけると、笑顔を返され、高城れには「言葉は通じなくても、心を通わせることができた。アニメは世界共通だと実感した」という。
 日本の女性アイドルグループは、20代半ばころまでに解散したり、メンバーが入れ替わることが多いが、玉井詩織は息の長いグループを目指しているとし「スマップの女性版になり、演技や芝居、喋り、何でもできるグループでいたい」と言うと、佐々木彩夏は「『2020年の東京五輪で歌いたい』と、みんなで話している」と、紹介した。
 今後の活動について、有安杏果は「メインはライブで、ライブはお客さんあってのもの」と強調する。「モノノフ(武士)」と呼ばれる熱狂的な、ももクロファンに感謝を込め「ライブでは、モノノフも気合いを入れている。お客さんも出演者なので、これからも大切にしたい。海外でもモノノフが広がればいいし、同時に日本の文化も世界に広がればうれしい」と願った。
 アニメ・エキスポに招待されたことについてリーダーの百田夏菜子は「日本のアニメやポップカルチャーを紹介するイベントに呼ばれたことが、とてもうれしい」と喜び、ファンに向け「海外でのライブは少ないので、貴重な機会を大切にし、一生懸命演じたい」と、全力のパフォーマンスを誓い、ライブに臨んだ。

全力のパフォーマンスを披露する、ももいろクローバーZ
全力のパフォーマンスを披露する、ももいろクローバーZ

 2日夜行われた、ももクロの米国初ライブは、会場のマイクロソフト・シアターに、4351人のファンが詰めかけた。
 公演前のステージには、米ロックバンド「KISS」のメンバーのジーン・シモンズとポール・スタンレーが登場し、メンバーを励ました。KISSと、ももクロはコラボレートし、シングル「夢の浮世に咲いてみな」を発表したり、東京ドーム公演にゲストに招くなど親交を深めている。
 KISSは、日本の伝統文化とポップカルチャーをこよなく愛する。独特のメイクは、歌舞伎の隈取りからインスパイアーされたといいまた、最近では限定800枚の浮世絵のモデルにもなっている。ステージでは、長年の日米文化交流に貢献したとして、堀之内秀久総領事から記念の着物の帯がそれぞれに贈られた。
ポーズをとるももクロのメンバー
ポーズをとるももクロのメンバー
 ももクロは公演で、アニメソングを中心に、米国でもお馴染みの「美少女戦士セーラームーン Crystal」の主題歌「MOON PRIDE」や、「ドラゴンボールZ復活の『F』」の主題歌「『Z』の誓い」の英語バージョンを初披露するなど、全14曲を熱唱し観衆を魅了した。時折、英語で「We love USA.」などと、コミュニケーション図りながら、アクロバティックなダンスも披露。ファンは熱狂し、ペンライトを振りながら大きな声援を送った。ももクロは「We will come back. See you next.」などと、ロサンゼルスでの再公演に意欲を示した。
 公演の興奮覚めやらぬ中、場外では日本からこの日のために駆けつけた「モノノフ(武士)」と呼ばれる熱狂的な、ももクロファンと、米国各地から集まったファンが、公演について話したり、ももクロのポーズを真似て一緒に記念撮影に納まるなど、日米交流を堪能していた。
 東京から来たファンは「最高のライブだった。日本ではあり得ない近さで見ることができた」と喜んだ。「ももクロは、アウェイ(地方公演)で強いので、その強さをアメリカでも発揮してくれた」と力を込めた。ワシントンDCから参加したクリス・マーチンさんは、フェイスブックで呼びかけた全米から集まった仲間と応援団約30人を結成し鑑賞した。「歌とダンス、綺麗な衣装を生で見られて感動した」と、満足げに話した。
堀之内総領事(右)から表彰され、着物の帯を贈られるKISSのポール・スタンレー(左)とジーン・シモンズ(中央)
堀之内総領事(右)から表彰され、着物の帯を贈られるKISSのポール・スタンレー(左)とジーン・シモンズ(中央)

公演後の日米の「モノノフ」交流。ももクロのポーズを決め、記念写真に納まった
公演後の日米の「モノノフ」交流。ももクロのポーズを決め、記念写真に納まった

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