レユニオン島で機体の残骸が漂着し、マレーシア航空の一部と確認されたニュースが流れた。遺族のためにも惨事解明の手掛かりになってほしい。
 ところで、アフリカ、インド洋のマダガスカル東方に浮かぶこのレユニオン島だが、フランス領と報道された。人口は約85万人、面積は佐賀県ほどの大きさ、公用語はフランス語(地元のクレオール語も日常使われる)、通貨はユーロ。厳密にいうとフランス海外県で、フランス本土と同様の法律が施行されるという。
 カリブ海のサンマルタン島や南太平洋のタヒチ島があるフランス領ポリネシアは海外準県。オーストラリア東方のニューカレドニアもフランス領土だが、これは特別共同体になるらしい。行政、法律、貨幣、税金などの違いで、 いくつか異なるフランス式統治システムのカテゴリーがあるようだ。
 海外領土は、昔、航海に出たヨーロッパの国による植民地政策の歴史に基づく。各国は国益のため、資源の利権、軍事戦略的、経済便宜的に有効な場所を武力、または買収によって獲得した。
 レユニオン島から北東へ220キロの位置にモーリシャスという独立国がある。レユニオン島より面積はやや小さく、人口は約1・5倍の130万人ほど。ポルトガル人が到達し、その後オランダ領、フランス領、イギリス領を経て1968年英国連邦として独立し、1992年から完全独立の共和制に移行した。英語が公用語でインド系の人口が大半を占める。
 もし、平和で平等な社会が保証でき、経済が安定し、住みやすさと幸福が確保できる道が独立国家であり、地元の住民が希望するなら、その意志は尊重されるべきだ。
 ところが、同じインド洋に浮かぶコモロ諸島4島のうち3島は1975年に独立したコモロ連合だが、マヨット島のみ住民投票で独立を拒否したという。現在もフランスの海外県だ。コモロ諸島では、独立後25年間に19回のクーデターが生じ不安定な政情が続いた。今は安定化している。
 レユニオン島も、独立より現状を望んでいるようだ。フランスからの経済、軍事、教育サポートがあるし、フランス人なのでユーロ圏で仕事もできる。島それぞれ独自の歴史、文化、社会事情を踏まえ、彼らによるレユニオン島の未来作りも尊重しよう。【長土居政史】

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