一人の女性が投稿したブログが、国政をも動かそうとしている。
 「保育園落ちた日本死ね!」
 過激な発言に最初は、ギョッとした。怒りのブログは続く。
 「何なんだよ日本。1億総活躍社会じゃねーのかよ。私、活躍出来ねーじゃねーか…」保育園を増やせと訴える、核心をついたブログの内容が国会で取り上げられ、安倍首相は「匿名なので、本当かどうか」と答弁。
 ならば、行動を起こそうと、国会前で「保育園落ちたの『私だ!』」のプラカードを掲げ抗議活動が行われた。0歳児を抱えた女性の姿も見える。
 2月29日の衆院予算委でブログを紹介した民主党の山尾志桜里議員の説明「言葉は荒っぽいです。でも本音なんです。今、社会が抱えている問題を浮き彫りにしている」揚げ足取りでなく、他党攻撃でなく、テレビで見ていても簡潔で小気味のいい質疑であった。こういうのを快哉(かいさい)というのだろうか。
 ネットの呼び掛けで2万5000人の署名が集まった。神妙な面持ちで受け取る塩崎厚労相。これを受けて、政府は待機児童の解消に全力で取り組むと約束したのである。
 生まれたばかりのベビーをあやしながら30代の女性が電話をしている。相手は保育所らしい。「そうですか82人…」。82人の順番待ち。女性は言う。保活が大変だとは聞いていたが、想像以上だと。このままでは勤めを辞めざるを得ない、活躍できないと訴える。一昔前なら親に見てもらえた。いまごろの核家族ではそうもいかないのだろう。こんなにみんな活躍したがっているのに…。
 一億総活躍社会ってなんなんだろう。〈若者も高齢者も、女性も男性も、障害者や難病のある人も、みんなが包摂され、活躍できる社会〉とホームページにあるが、みんなが活躍するためには、それぞれに受け皿が必要であるはず。この際、定年制などなくして、元気な高齢者に0歳児を預かってもらうというのはどうだろう。柔軟な発想も必要かも。
 インパクトのあるこのブログ。近年にない傑作だといえるかもしれない。
【中島千絵】

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