
アジア系メディアの発展に取り組むNPO「アジア系米国人ジャーナリスト協会(AAJA)」のロサンゼルス支部が6月25日、全米日系人博物館(JANM)でデジタルメディアのコンベンション「V3」を開催した。今年は羅府新報社がゲストスピーカーのひとりとして招かれ、エスニックメディアのデジタル化への移行についてパネルディスカッションで意見を交わした。【吉田純子、写真も】
プレゼンターを務めたABCチャンネル7「Eyewitness News」のアンカーのデイビッド・オノ氏(左)と娘のカイア・オノさん
ABCチャンネル7「Eyewitness News」でアンカーを務める日系ジャーナリストのデイビッド・オノ氏をはじめ、LAで活躍するアジア系ジャーナリストらが参加。ジャーナリズムの現場だけでなく、医療現場でのデジタルメディアの活用などさまざまな議題について意見が交換された。
パネルディスカッションのスピーカーはアジア系だけでなく、LAという人種の多様化した土地柄を生かし、マイノリティー(少数派)も参加。さらに人種の枠にとらわれず性的少数派(LGBT)の人々の声もできるだけ反映できるようにしていきたいとAAJAのナオミ・ハヤセLA支部長は話す。
テレビや新聞業界をはじめ、現在さまざまなメディアでツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアを活用した情報発信が普及しているが、なかでも今年は急速に利用者が増えているフェイスブック傘下の無料画像共有アプリ「インスタグラム」やスマートフォン向けの写真共有アプリ「スナップチャット」の話題が注目を集めた。
米国における日系人の歴史とともに歩んできた日英両語のバイリンガル紙として、各界で活躍する日系人、日本人を紹介するだけでなく、コミュニティーに密着した取材活動を行っていることを紹介。
同社の読者には米国で生まれ育ち英語を母国語とする日系3世、4世のほか、日本で生まれ育ち渡米した日本語を母国語とする新1世もおり、英語版と日本語版とでは読者層も異なり、それぞれが興味を持つニュースを発信することに力を入れていると解説した。
一方で1980年から2000年生まれのミレニアム世代と呼ばれる若い読者層の獲得に苦戦を強いられ、さらにミレニアム世代と長く同紙を購読している読者の両者が好むコンテンツの融合も難しいとムラナカ氏は言及。
こうした時代の流れをふまえ、現在では幅広い世代の読者獲得に向け、ツイッターやインスタグラム、フェイスブックを駆使し読者層の拡大に励むほか、オンライン新聞を開始し購読を呼び掛けるなど、デジタル化への移行を図っていると紹介した。
活躍するアジア系米国人として表彰された韓国系米国人俳優ジョン・チョー
「V3」ではほかに、メディアを通して活躍するアジア系米国人を表彰しており、今年は映画「スタートレック」で日系人俳優ジョージ・タケイに代わりヒカル・スールー役を演じるなど近年活躍を続ける韓国系米国人俳優ジョン・チョーや、映画「カンフーパンダ3」で監督を務めたジェニファー・ユーらが選ばれた。