新年の乾杯を行う(右から)柿本正水会長、武藤三佐子・名誉顧問、海部優子ジャパン・ハウス館長と正原祥風さん
 南カリフォルニアの華道界をリードする池坊、小原流、草月流の3流派の37人の教授陣で構成する「いけばな教授会」が新年会を19日、トーレンスのミヤコ・ハイブリッドホテルで催した。同会名誉顧問の武藤三佐子・総領事夫人をはじめ日系社会の多方面から来賓を迎え、参加者38人が親睦を図り華道の普及にいっそう精進することを誓った。

祝辞を述べる武藤三佐子・名誉顧問
 昨年就任した柿本正水会長(池坊)があいさつに立った。昨年1年の活動について「この会にとってたいへん大きなうれしいニュースが二つあった」と笑顔で話した。一つは三宅明己顧問が10月に100歳を迎え盛大な誕生会に会員が出席し「この特別な日に会場に祝い花を飾ったことを誠に光栄に思う」と誇った。もう一つは「12月に同会初代会長の正原祥風さんが、天皇陛下から旭日単光章を授与された」と声を弾ませ、2人にあらためて祝意と会への功労に対する謝意を表した。各所で展示や実演を行い多くの人々といけばなの美しさを分かち合う機会に恵まれたことを喜び「いけばなが、日本文化のアートとして世界にさらに広まるようにしたい」と抱負を述べた。
 武藤夫人が祝辞を贈った。総領事の赴任に伴い1988年から4年間、旧ソ連・モスクワに暮らした当時、花屋には赤いカーネーションしかなかったという。「大使公邸の花の飾りをどうすればいいのかいつも頭を悩ませていた」という。あるいけばな教室ではロシア人が赤いカーネーションと鳥の骨を飾っていて「初めて見た作品でかなりショックだった」と振り返った。武藤夫人は草月流でいけばなにいそしんでおり、素材の豊富な南加のいけばなについて「ゴーギャンの絵のような原色に近いいろいろな花が多く、今勉強していてとても楽しく時間を過ごしている」と、創作意欲を示した。公邸を彩る作品が楽しみだ。
植木について解説を行う北島蓉幸さん(右)。剪定(せんてい)の方法やはさみの選び方、水、肥料の与え方などをていねいに話した
 新年恒例の華道奏は、各流派を代表して安田桃春さん、岡田秀佳子さん(ともに草月流)、新橋律翆さん、ルー・ユーメイさん(ともに池坊)、リン・テレサさん(小原流)の5人が務めた。鯨岡牧鳳さんの琴演奏に乗って花を生け、花や葉、枝など思い思いの材料を駆使して、それぞれの流派の特長が随所に光る作品を披露。各人が花材や創作の意図を説明し、大きな拍手が送られた。
 三宅顧問の張りのある発声で乾杯。食後は恒例の花や植物、野菜に関するクイズで一喜一憂し親睦を深めた。草月流教授でナーサリーを営む北島蓉幸さんの植木についての講話で知識を深めた。【永田潤、写真も】
新年の乾杯を行う(右から)柿本正水会長、武藤三佐子・名誉顧問、海部優子ジャパン・ハウス館長と正原祥風さん

新年の乾杯を行う(右から)柿本正水会長、武藤三佐子・名誉顧問、海部優子ジャパン・ハウス館長と正原祥風さん

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