米プロゴルフのマスターズ・トーナメントでの松山英樹選手29歳の優勝は日本人にとり快挙だった。僕も東京で3日目と最終日のテレビ中継を見続け、特に最終日の後半はハラハラドキドキ。最後18番ホールでパットを沈めて一打差の優勝を決めた瞬間は家内と二人で拍手拍手で喜び合い、松山選手の日本人初、アジア人初となるマスターズ勝利を祝福した。松山選手は約2億円超の優勝賞金を獲得したが賞金よりもマスターズに優勝の名を刻んだ名誉が特段の価値だろう。
 マスターズは世界4大大会の中でも最も格のある特殊な大会で毎年世界トップレベルの選手が招待され、皆、目の色を変えて優勝を目指す。過去87年の歴史に優勝選手の名前を見ても常にその時々の最高の「名人」プレイヤーが名を連ねている。すなわちサラゼン、ネルソン、スニード、ホーガン、パーマー、プレーヤー、ニクラス、ワトソン、バレステロス、クレンショー、ファルド、ウッズ、等々。ウッズの5回もさすがだが、最高はいつもマスターズ優勝に執念を燃やしたニクラスの6回がすごい。この「名人」の歴史に松山が加わった。
 招待ベースのこの大会には過去日本からも杉本、河野、尾崎、青木、中嶋、村上、丸山、石川など各時代の日本のトップ選手が招待され挑戦した。これら日本の王者が何度も予選落ちすらしている。世界トップ間の厳しい競り合いの前に、コース自体が極度に難しいことを示している。
 松山は今回10度目の挑戦。6年前の5位入賞は立派だったが、予選落ちもあった戦績の上に今年見事に優勝した。出場自体が難しい、レベル高い特殊な格の大会に出て、松山は好成績を上げたいとかベストを尽くすとかではなく、優勝自体を強く目指すという精神性がすごい。それを実現した。過去に米ツアーと日本でも何度も優勝し輝かしい記録を残しているが、この最高のメジャー優勝が選手としての格を高めると共に、今後メジャーや大きな大会で勝つ自信と目に見えぬ力を得たと言える。
 前週に同コースで開催された女子アマ選手権でも日本の梶谷翼選手17歳が優勝している。日本選手の活躍が力強い。【半田俊夫】磁針

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