帰国して約11カ月、日本の生活やリズムにもすっかり慣れた。久しぶりのロサンゼルス訪問が実現し、日本の住人の感覚で日本とロサンゼルスの比較があらためてできるのでは、と勇んで成田を飛び立った。
 飛行機がようやく陸地部に入り、ベンチュラ、マリブと見慣れた地形が目に入る。やがてロサンゼルスの町並み、パロスバーデス半島、カタリーナ島が見えると一気に懐かしさが込み上げてくる。以前の日本出張から帰ってきたときとはまったく別の感情だ。これが日本の住民になった証(あかし)だろうか?
 空港は広くゆったりとはしているがガランとした感じ。迎えに来てくれた車でレンタカー屋さんにドロップしてもらい、10カ月半ぶりの運転、不思議に違和感はない。道はさすがに広い。慣れた道なのだが運転しながら周囲を見回し以前とは少し違った感覚に身を任す。ホテルにチェックインしたあと元の住居を訪ね隣人たちにあいさつ。「家は売るなよ、どうせお前は帰ってくるだろうから」といってくれた隣人たちの友情は変わらない。サラッとはしているが温かい気持ちが伝わってくる。隣の女の子は1年の間にずっと大人びて見えた。
 2日目から目まぐるしい。銀行に行き、CPAに会い、個人的な用事を済ませると友人たちがさまざまに歓迎してくれる。ゴルフの仲間、ボランティア仲間、県人会の皆さんが集まってくれ、シャワーのように注がれる温かい気持ちが有難い。嬉しかったのはアジア系商工会議所の皆さんとランチを共にできたこと。みんな忙しい中を都合つけて会いに来てくれた。人種に関係なく気持ちが通じ合うのはさすがに国際都市ロサンゼルスだからだろうか?
 日本の住人の感覚で日米比較をと張り切っていたのだが帰って1週間、まだまだ気持ちの整理がつかない。もう少し時間が経つとこの感覚が熟成されて輪郭が浮かび上がるのだろう。今は周りの温かい気持ちに包まれて「やはりロサンゼルスは自分の第2のふるさとだ」との思いに身を任せたい。【若尾龍彦】

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