仲間内の月例勉強会で講師にスパイス・コーディネーターを招き、スパイスに関する話をうかがった。スパイスとは植物から採取され、調理の際に香りや辛味付け、着色、臭い消しなどのために使用される調味料のことだ。食事をおいしくしたり、食欲を増進させたりする役割があるスパイスには、また抗菌、抗酸、抗カビ、薬理作用も知られている。
 エジプト、インドなど古代文明発祥の地では肉や魚の運搬、保存、また香りによる病魔退治などのためスパイスが珍重され、金銀宝石と同様の価値があるとされたスパイスだが、自然の食材が豊富な日本では、素材そのものの味を大切にし、また発酵食品を積極的に利用したことなどから香辛料を必要とすることが少なかった。日本にも古くから山椒、生姜、ゆず、わさび、唐辛子などのスパイスがあったが、多様なスパイスが使われるようになったのは第二次世界大戦後のことなのだそうだ。
 最近スパイスの薬理効果が改めて注目されているという。これら薬理効果は漢方にも通じるところがあり、人為的に作られた食品や科学的に配合された補助栄養剤が主流を占めてきた昨今の生活に対する反省がその裏にあるといえよう。
 近代の西洋医学の発展は素晴らしく、医療技術は目覚しい進歩を遂げている。しかし、本来病気を治すための薬が逆に身体全体のバランスを崩したり、その副作用でほかの臓器を悪くすることもあるようだ。これからは人間を部品の集合体ととらえる西洋医学だけでなく、からだを全体的にとらえ、バランスを重視し、天然生薬を中心に予防を含めた治療をおこなう東洋医学をうまく融合させることが必要となるのではないだろうか。そのためにも漢方と同時にスパイスの薬理効果が出番だと思う。
 スパイスは天然自然から得られる調味料として私たちの食卓を豊かにし、病気を予防し、健康で明るい人生の後押しをしてくれるものだ。スパイスの有効活用によって、これからもさらに「スパイスのきいた人生」を送りたいものだ。【河合将介】

Leave a comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *