8月初め、南加愛媛県人会の100周年。愛媛からは知事以下94名の訪問者が参加した。3年前から企画し、「わしらは小さい県人会じゃけえ100周年はやらんでもええ」と渋る声を奮い立たせ、やがて「ふるさとツアー」「四国遍路巡礼参拝団」を企画するようになった。
前者は愛媛を知らない子供たちを参加させ、ふるさとを体験させることでアイデンティティーを持たせ、後者は会員の宮田・元高野山米国別院総監が数年ごとに行っていた「四国遍路巡礼参拝団」をこの時期に合わせたもの。いずれも県庁や大学、新聞社など各地の要路を訪問し、親戚や友人とも交わって100周年への参加を呼びかける狙いがあった。2年前には自分も30数年ぶりの松山を訪れ、県知事、松山・愛媛両大学、商工会議所、愛媛新聞を歴訪し100周年への支援を依頼した。
総勢330名を数える記念式典は、来場者で会場は立錐の余地もない。司会は日系二世の若手男女が英語と日本語を分け持ち、ユーモアたっぷりに進める。
準備に若手を前面に起用することで彼らの友人たちの参加もあり、全般的に若者の姿が目に付く。県からも高校生の2グループが合わせて30人ばかり、いっそう若さの華やぎを盛り上げた。
特筆すべきは婦人会員のコーラス。練習を重ねるうちに息が合い、気が合い、結束力へつながった。舞台ではコーラスに知事夫妻も加わって熱唱、県の高校生に県人会の子供たちも加わった合唱も続く。最後は会場が一体となって立ち上がり「ふるさと」を大合唱。まさに歌の力は驚くべし。
来訪の商工会議所メンバーも南加日商と交流会、プラークや情報の交換で親睦を深めた。100周年の戦略を立て、準備や実行に英語組の若手を起用することで彼らに県人会への関心を持たせ、スムーズな若返りを図るのも今後の県人会運営への一方法である。
多くの県人会が100周年を迎え、さまざまな方法を試行錯誤してきた。100周年が契機となり活性化した県人会も多い。このたびの愛媛県人会のケースもこのような流れに役立つようなら汗を流した会員は本望であろう。【若尾龍彦】