新聞を作っていると、日本からの日本語の記事をこちら用に『翻訳』しなければならないことがある。度量衡などがその主なもの。
日本からの記事はメートル法で来るので、アメリカで使用しているフィート、ガロン、カ氏などに変換するわけだ。1マイル=何キロはだいたい分かる。他の単位もおおよその数値は出せるが、1マイルは何フィート、1米トンは何ポンドなどと言われたら頭の上に「?」が浮かんでしまう。
単位を換算するのに便利なソフトが数多くある。数多くあると言うことはそれだけ苦労している人たちがいるわけだ。以前カレッジで化学のクラスをとった時、クラスに入るためのテストをやらされた。インチ、フィート、オンス、ガロン、ポンドなどの換算と計算が含まれていた。アメリカ人生徒の度量衡の理解度を試すもので、最低こういった知識がないとクラスがとれなかったのだ。
教育や政治関係の人たちも一応メートル法の大切さを口にするが、実際にはなにもしない。十進法の方がなんぼか楽だと思うけど、些細なこととしか受け取っていないのか、逆に大きすぎるのか…。具体的になぜ移行できないのか説明してくれた人はいない。
19世紀のパリ万博の時に国際単位系(SI)の原案が出され、日本も明治初期にメートル法に加盟したのが始まり。その後51年にメートル法の使用が義務付けられたり、平成4〜5年に計量単位令、計量法施行令などが定められたりでJIS(日本工業規格)がSI準拠になったらしい。フレンチフライなどの名前を変えたりとアメリカ人はフランスが嫌いらしいから、フランスが言い出したSIを無視しているのかな。
日本のように「右へならえ」の国でも定着するのに半世紀以上を費やしている。米国もそれだけの長期的視野で改革したらどうだろう。伝統を残したければ、フィートやガロンも、永六輔氏が提唱していた鯨尺・曲尺保存のようにもっていけばいいだろう。現在では正規ではないだろうが尺貫法も通用し、鯨尺も販売されているという。【徳永憲治】