日本の国会で野党側が小沢・民主党元党首の国会招致を求めつづけている。それも、証人・小沢氏が嘘をつけば偽証罪に問われる証人喚問の形で、だ。日本の政界は与党側も野党側も、いったい何を考えているのだろう。いや、そもそも、何かをちゃんと考えているのだろうか?
 小沢氏の政治手法には問題が多すぎる。仮にその政治理想が他の政治家たちを凌駕するほど立派なものであるとしても、オレがよければすべてよしといった、小沢氏の自己中心の思考パターンは、ときには醜悪の域にさえ達している。特に、いわゆる「カネと政治」問題に関する同氏(と鳩山前首相)の振る舞いが、同氏自身の党、民主党をどれほど深く傷つけているかにまったく思いを馳せないところなどがそうだ。
 だが、検察審査会が再び小沢氏を〈起訴担当〉としたあと、つまり、小沢氏が強制起訴されることが決まったあとでも、「国会招致」「証人喚問」と騒ぎつづけるのは愚かなことだ。公権による捜査の対象となった者に与えられている権利の一つは〈何人も、自分を罪に陥れるかもしれない証言を強いられてはならない〉というもので、警察と検察による犯罪でっち上げが絶えない状況の中で、この権利の重要性は増しつづけている。当然、小沢氏にもこの権利がある。
 万が一にも小沢氏が証人喚問に応じた場合でも、同氏が〈公判を控えているので何も言えない〉としか回答しないことは余りにも明らかだし、同氏にはそう応える権利ある。証人喚問は何も生み出さないのだ。
 それでも証人喚問を自党の宣伝場所と考えて小沢氏を追及するというのなら、どの野党も、国会の貴重な時間を浪費する税金泥棒だと呼ばれても仕方がない。国会を政治ショウの場にするのはもうやめるべきだ。日本国民の暮らしが悪化する一方であるいま、国会にはそんなことをしている暇はないはずだ。【江口 敦】

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