日本の全国各地に心優しい「タイガーマスク」が登場している。この「思いやりの連鎖」に刺激を受け、わが愛犬をアダプトしたレスキュー団体への寄付を2年ぶりに決めた。
寄付金の送り先を確認しようと同団体のホームページを訪れてみると、そこには悲しいニュースが掲載されていた。創設者の女性が昨年12月28日、54歳という若さで亡くなっていたのだ。ロサンゼルス・タイムズ紙やデイリーブリーズ紙の死亡記事によると、2年前からがんで闘病生活を送っていたという。
2年前に寄付をした時、アダプトした犬の成長記録とともに、レスキューする大切さを教えてくれた彼女に感謝の気持ちを込めた手紙を添えた。彼女からは、「前の飼い主に虐待され、捨てられたホームレス犬に温かい家庭を提供してくれてありがとう」との手書きのカードが送られてきた。
ロサンゼルスで生まれ育った彼女は、大学院を卒業後、臨床心理学者としてキャリアを積んでいた。しかし、当時ロサンゼルス郡内で安楽死させられる犬が1日250匹にも上ることを知り胸を痛め、犬のレスキューに専念しようと仕事を辞める決心をした。
「すべてのホームレス犬に家が見つかるまで」―をモットーに、01年、レドンドビーチにレスキュー団体を設立。安楽死させられる直前の犬をシェルターから引き取り、ボランティアと協力し、次の飼い主が見つかるまでたっぷりの愛情を注ぎ育てる。彼女の手によりアダプトされた犬は、1300匹以上に上る。
創設者のいなくなった同団体の今後の活動を心配する声が上がる中、彼女の長年のパートナーと、彼女の動物を思う献身的な愛情に心打たれたボランティアたちが、「すべてのホームレス犬に家が見つかるまで」、変わらずレスキュー活動を続けていくと発表した。
ここにも、思いやりの連鎖が起こっている。この心温まるつながりを終わらせてしまわぬよう、少額ながら同団体への寄付を毎年の恒例にすることに決めた。そう、すべてのホームレス犬に家が見つかるまで―【中村良子】