3月3日にJBAの設立50周年記念イベントがダウンタウンのJWマリオットで盛大に行われ、晩餐会では管直人首相からお祝いのビデオメッセージが披露された。本来であれば首相からの祝辞というのは感慨深いものだろうが、支持率が一割台、公然と退陣論が叫ばれる首相とあっては大した感動もない。ダニエル・イノウエ議員やヒラリー・クリントン国務長官からのメッセージのほうがインパクトがあったというのは言い過ぎだろうか。
政権を揺るがす突然の前原前外務大臣の辞任から、今度は菅首相グループの幹部である土肥隆一衆院議員が「日韓キリスト教議員連盟」の日本側会長として、日本政府に竹島の領有権主張中止などを求める同議連の日韓共同宣言に署名し、韓国の国会で共同記者会見していたことが9日、分かった。土肥議員の行動は竹島は日本領土の一部としている日本政府の見解に矛盾する上、韓国世論にも日本の政治家が韓国の主張を認めたというメッセージを送ったことになる。
10日の会見で土肥氏は、竹島は日本の領土とした上で、過去11年間、キリスト教信者また一牧師として、韓国の独立を祝う3・1集会に出席してきたが、国家を背負った交流という意識はなく、今回の共同宣言の発表文に竹島の領有権に言及する文面を精査しなかったのは軽率だったとしている。しかし、弱体化する政権与党の幹部として、細心の注意を払うべきではなかったか。党役職の辞任は当然だ。
領土問題でいえば、昨年11月のロシアのメドベージェフ大統領による北方領土の国後島訪問、尖閣諸島に対して領有権を主張する中国など、日米同盟が米軍基地再編を巡って揺らいだ隙をつかれた格好だ。日本は有効なカードを持たないまま、激化する中ロのパワーゲームに翻弄されている。
日本国内に至っては未だにカネと政治に決着がつかず、小沢氏からの国民に向けた明確な説明もないまま。小沢氏を支持する議員は造反し、内外の問題が山積みにもかかわらず、民主党は内紛に明け暮れる始末。何のために、誰のために国会議員となったのか。今一度議員バッジの重みを考えてもらいたい。【下井庸子】