警察庁のまとめによると、東日本大震災の死者は20日現在、12都道県で1万4063人、行方不明者が6県で1万3691人。そして、避難所生活を送っている被災者の数は18都道県で計13万3454人に上るという。
 震災から一カ月以上が経ち、各地で復興の動きが見え始めた今でも、これだけ多くの人がいまだ不自由な生活を送っている。健常者でも酷な生活を強いられている中、支援の手がなかなか届かないのが、障害者などのマイノリティーだ。
 「被災した障害者の救済にご協力くださーい」
 先日、南加の日系マーケット前でひときわ大きな声で募金を募る人たちがいた。皆、高校生や大学生といった若者ばかり。
 彼らは、障害児を兄弟姉妹に持つグループ「シブリングの会」のメンバーで、障害児の世話で大変な思いをしている親の陰で脇役に徹している子供たち。自身もまだ子供でありながら、時には父親や母親役、また介護士役などをこなし、障害者の一番の理解者だ。
 「健常者でもこれだけ大変な思いをしている中、障害者のようなマイノリティーの支援はどうしても後回しになってしまう」
 会長を務めるエレジーノ翔子さん(19)は震災後、自閉症の被災者が避難所への入所を断られた話や、「迷惑がかかるから」と自ら障害のある子供と車の中で被災生活を送る人たちなど、日本から届く被災した障害者にまつわる情報に胸を痛めた。
 エレジーノさんには、自閉症の妹がいる。社会性やコミュニケーション能力に障害のある自閉症児にとって、新しい環境に適応するのは非常に難しい。団体行動が取れないこともよく分かっている。他人事ではないと切に思った。
 障害者とともに生活し、彼らをずっと見てきた。「健常者も大変な思いをしている中、自分たちが障害者のために立ち上がらず、他に誰が立ち上がるのか」。5時間の募金活動で約6500ドルを集めた。彼らは今後も、障害者の一番の理解者として、障害者の声を代弁し続ける。【中村良子】

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