If you don’t like Chicago’s weather, wait a minutes.
 天候の変わりやすいシカゴのジョークで、文字どおり1分待てば天気が変わると言うのだが、今年の天候は変わりやすいだけでなく豪雨、強風、竜巻と随分荒っぽい。
 勤務先のコミュニティーセンターは建物が古く、2カ月前に屋根の修理がやっと終わり、長い間悩まされた雨漏りから開放された途端に、今度は傷みの激しいレンガの外壁から、風に吹き付けられた雨が浸み込み、強い雨が1時間、2時間と続くと、屋内の一部の床に浸水する。
 前夜の1時間9インチという降雨量が気になって土曜日だったが出勤してみると、案の定、広範囲にわたって浸水している。そういえば水を吸い取るバキュームが壊れていると用務員が文句を言っていたことを思い出した。
 慌ててモップを持ち出してバケツに水を絞ってみたが、そんな非能率的な方法では、水の量から見てどうやら一日仕事になりそう。管理職に事情を報告し、用務員に出勤してもらおうと電話したが、両者とも不在。そのまま捨て置くわけにも行かず、結局モップとバケツの原始的な方法で水を集めて捨てることになった。途中から職員でもないのに施設を利用しているテナントの1人が助っ人に入ってくれて3時間余りの水との戦いでありました。
 週明けに日系3世の同僚にこの話をしたところ、彼女の助言は「あなたは用務員でもないし、施設の管理人でもないんだから、責任者に状況報告だけすればいいのよ。馬鹿馬鹿しい。大変な思いをするだけで、そのうち担当者があなたを当てにし始めるから…」であった。
 言われてみればそのとおり。私の仕事の範囲に床の水をモップで吸い取るなどという項目は無かった。しかし水浸しになった床を見ながら「私の仕事じゃないから」と捨てておく勇気が私にはない。
 ところがその週は火、木、金と雨ばかり、その度に水浸しを最初に目撃するのは、どういうわけか私。そしてモップを持ち出して掃除を始めるのも私。どうやら同僚の助言は正しかったようである。
 That is not my job.と割り切るのは、日本人の私にはなかなか難しい。40年もこの国に住んでいるというのに…。【川口加代子】

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