漫画「ドラえもん」の中で、のび太は過去や未来の世界に自由に出入りが可能な男の子。彼の勉強机の最上段の引き出しは、時空間の出入り口になっているタイムマシンなのだ。
 時間と空間について言えば、誰でも一度は耳にしたことがあるアインシュタインの相対性理論。端的に言うと、「時間の流れは一定ではなく変化する。質量のあるすべての物体は光よりも速く進めない」という理論。
 この相対性理論はこれまで約100年の間、物理学の基本とされ、絶対視されてきたわけだが、23日に国際研究グループが発表した「素粒子ニュートリノは光よりも速く進む」との観測結果が、アインシュタイン理論と矛盾するとして論議を呼んでいる。
 光が1秒間に進む速さは、「鳴くよウグイス平安京」(794年)や「富士山麓オウム鳴く」(ルート5=2.2360679)などの語呂合わせで年代や数字を覚える受験生のように、一般には「憎くなく、2人寄ればいつもハッピー」(299792458メートル≒30万キロ)と記憶されている。また俗に「1秒間に地球を7回り半する」速さとも表現。
 地球を7回り半といわれても、その速さを実感できないけれど、光以上の超高速で物質が進むことが可能なら、時間を逆戻りさせることができるかもしれないという理論も成り立つことに。
 平たく言うと、同じ速度で並走していた電車の一方がスピードを速めたら、他方の電車は逆走していくように見える感覚とでも表現したらいいのだろうか。ニュートリノが光よりも速いことが証明されれば、時間が逆に動くかもしれないし、理論的にはタイムマシンは可能なのだという。
 漫画の世界やサイエンスフィクションではなく、本当に時間をさかのぼれるとしたら、愉快だ。悪ガキと暗くなるまで遊びまくっていた小学生時代に戻るのも悪くないし、西部開拓時代に身を置くのもロマンがある—なんて愚にもつかないことをあれこれ想像していたら、物事を相対的に見られなくなり頭痛。脳味噌も、の・び・た。【石原 嵩】

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