感謝祭(サンクスギビングデー)翌日の金曜日は、いわゆる「ブラック・フライデー(黒字の金曜日)」。未明から各小売店はホリデーシーズンに向けた特別セールを開始。
 家電、コンピューター、スマートフォン、デジタル機器など、値が張る商品が通常の半額以下になることも珍しくない。中には高額商品がわずか1セントという客寄せ目玉商品も。
 だから、買い物客はお目当ての商品をゲットするため数日前から店の前にテントを張って泊まり込み、開店と同時に店内になだれ込む光景が今年も各所で見られた。
 買い物客が殺到し、必ず黒字になるとされる「ブラック・フライデー」は、小売店だけでなく消費者にとってもエキサイティングな金曜日。しかしながら、1%の超裕福層に加われるすべもない99%の善良市民は、1ドルでも安い商品のほうにどうしても目が向いていく。
 今年のホリデーシーズンの売上高総額は前年比2.8%増の約4700億ドルと予測されている。長いトンネルの先に、ほのかに明かりが見え始めてはいるが、景気回復の先行きに予断は許されない。
 確かなことは、いつもレッドインク(赤字)の人にも、クリスマスとお正月は必ずやってくること。今年もまた、つるべ落としの夜長に、プレゼントの遣り繰りで頭を悩ます。
 思えば人は、普段は自分のもの、例えば衣服を買い求めようと店に入り、あれこれと迷ったあげく、結局は「まだ今の服が着られるから、この次にしよう」と無理矢理、自分を納得させる。そのくせ、子どもや孫へのプレゼントとなると多少高くても何の迷いもなく買えるのだから、人間の心理は不思議でもあり、おそろしくもある。
 小さな子どもの笑顔は散財を忘れさせ、さらにお釣りまでもらえる感じなのだろう。
 素直に喜ぶ笑顔見たさの商品購入により物が動き、「金は天下の回りもの」となる。下手な景気対策よりも数段の経済効果が期待されるホリデーシーズンでもある。【石原 嵩】

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