Eメールやテキスト・メッセージに市場を奪われた郵政局が半端でない赤字対策として、普通郵便の切手の値上げ、現行の44セントが1セント上がって45セントに、土曜日の配達を無くして週5日営業、ファーストクラスの翌日配達が無くなり、早くて2日から3日、職員3万5000人を解雇して経費の削減を図るそうだ。
 しかし経営不振の原因はなにもEメールのせいだけではない。いささかの偏見が許されるならば、郵便局の職員たちは、過去何十年も独占企業の強みで実にマイペースで仕事をしていた(特に内勤は)ように思う。
 順番を待つ人がズラリと入り口近くまで並んで辛抱強く待っているのに、5つも6つもある窓口で開いているのは2つか3つ、ひどいときには1つしか開いていない。
 留守中で荷物や郵便物が受け取れなかった場合に配達通知の葉書を持って受け取りに行く。さんざん待たされてやっと窓口に到着、葉書を受け取った職員はゆっくりと裏に入り、(「しばらくお待ちください」などと絶対に言わない)そして長い間、戻ってこない。なにをしているのだろうとイライラしはじめると、裏で私事を話しながらゲラゲラ笑う声がする。やがてコーヒーカップと小荷物を片手に戻ってくる。
 他に競争相手の無かった昔はどんなに冷たくあしらわれようが、一通の手紙を先方に届けて頂くために我慢の子で黙っていた人々が、スピーディーなハイテク・コミュニケーションに鞍替えをしただけである。
 コンピュータだって特に愛想が良いわけではないが、相手が機械だと思えば腹も立たない。
 それでも日々の暮らしで郵便に頼る部分もまだまだ大きい。これからのホリデー・シーズン、クリスマスが済んでから届くプレゼントが増えることだろう。この羅府新報の到着も中西部まで現在は早くて1週間、遅ければ2週間はざらだから、さらに遅れる覚悟をせねばなるまい。給料の小切手の到着が遅れて暮らしに支障を来たす人も出てくるだろう。
 郵便事業もお役所仕事ではなくて今やサービス業、値段が上がってサービスが悪くなるのでは経営の改善など望めそうに無い。【川口加代子】

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