カリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事は5日、7月1日から始まる次期会計年度の予算案を発表し、11月に行われる住民投票で、2017年までの暫定的税率引き上げ案が承認されなかった場合、およそ50億ドルにも及ぶ教育関連予算の削減を行わざるを得ないことを明らかにした。
同州は92億ドルの財政赤字に直面しているが、次期会計年度予算は今年度より70億ドル増の925億ドルに設定。
ブラウン知事は財政難を解消するため、独身で年間25万ドル以上の収入がある人と、年間50万ドル以上の収入がある夫婦を対象に所得税の引き上げを行い、さらに州小売り税を現在の7・25%から7・75%に引き上げることにより、70億ドルの税収を見込んでいる。
07年からの長引く景気後退により、カリフォルニア州の税収は170億ドルも減少し、同州は公共サービスの削減を余儀なくされている。
もし同知事の提案が11月の住民投票で有権者からの承認が得られなかった場合、K−12機構(幼稚園から高校まで)で48億ドル、カリフォルニア大学機構(UC)とカリフォルニア州立大学機構(CSU)でそれぞれ2億ドル、州司法機関で1億2500万ドル、州の森林火災保護機関で1500万ドルの予算カットが実施される。
教育関連予算が削減されると、授業日数は今までよりも3週間短縮されるにも関わらず授業料は値上がりし、森林火災保護への予算カットが実施されれば、森林やビーチのパトロール職員の削減が行わざるを得なくなる。
さらに7月1日からは、加州に278カ所ある州立公園のうち70カ所で閉鎖が行われる予定となっている。
ブラウン知事は「加州の深刻な財政赤字解消のためには、高い税金を支払うか、教育関連予算の削減案をのむか、このどちらかを選択することは避けては通れない道である」と述べ、今回の予算案も苦渋の決断であったことを訴え、有権者に理解を求めた。