運輸保安局(TSA)はさきごろ、ロサンゼルス国際空港(LAX)で搭乗客がセキュリティーチェックを行う際、長い列に並ばなくても済む「プレチェック・プログラム」を導入したことを発表した。
通常のセキュリティーチェックでは、搭乗客はベルトを外し、コートや靴も脱いだ状態で検査を受けることが義務付けられている。そのため時間がかかり、空港が込み合う時期や時間帯には長蛇の列ができ、膨大な待ち時間を要する。
しかし同プログラムを利用すると、搭乗客は事前に個人情報を提出することにより身元調査が行われ、セキュリティーチェックでは長い行列を避け専用の列に通される。
同プログラム利用者の搭乗券にはTSA保安官に検査免除を知らせる暗号バーコードが記されており、コートや靴などを脱いで行う検査が省かれ、時間の短縮ができると同時に、待つことなくスムーズにセキュリティーチェックを済ませることが可能になる。
ただし、手荷物バッグは通常通り金属探知器での検査が行われる。またプログラムに申し込んでいない搭乗客は、既存のセキュリティーチェックを受けることになる。
すでに同プログラムを採用している空港はLAXの他に、アトランタ、ダラス、デトロイト、マイアミ、ラスベガスの5カ所で、ミネアポリス、ソルトレイクシティー、ニューヨークJFK空港では今年中にも同プログラムを導入する予定だという。
また現在までのところ、デルタ航空とアメリカン航空だけが同プログラムを実施しているが、ユナイテッド航空とUSエアウェイズも今年中に導入する方針だ。アメリカン航空では、すでに約10万人の搭乗客が同プログラムの利用を申し込んでいるという。
検査の簡素化が進む中、テキサス州のダラス・フォートワース国際空港で18日、機内持ち込みのバッグの中に銃を入れたままセキュリティーチェックを通過し、飛行機に搭乗した65歳の女性弁護士、ジュディス・ケニー容疑者が逮捕された。
空港のセキュリティーチェックを受けた際、荷物の中に銃があるのをスキャナーは認識したが、検査が完全に終了する前に同容疑者は荷物を取り搭乗口に向かってしまったという。ケニー容疑者は自己防衛のため銃を所持していたが、機内持ち込み用のコンピュターバックの中に銃を入れていたことを忘れていたという。
また今月4日、ティム・ドネリー加州下院議員(共和・ツインピークス)がオンタリオ国際空港からサクラメントに向かう際、空港のセキュリティーチェックで銃を所持しているのが見つかっていたことが明らかになった。同氏も自身が銃を所持していたことをすっかり忘れていたという。
一般市民と違い、州議員はセキュリティーチェックの際、金属探知器での検査を受けなくてもいいことになっているが、こうした事件を受け、TSAの検査方法や空港の警備体制を問題視する声も高まっている。
「プレチェック・プログラム」の申し込みは各航空会社からの通知、またはホームページglobalentry.gov/. で行うことができる。