寒い中、取引先の会社へ訪問しようと新橋駅から新橋6丁目、つまり御成門方面へ歩き始めた。すると4丁目あたりの交差点で大規模な道路工事現場に出くわした。
地上の道幅70メートルはあるだろうか? 下の方に目をやると地下を深く掘っている。
遠くに目をやると長く続く地下道路の建設中だ。とにかく驚いた。都会のど真ん中で、これほどの大掛かりな再開発事業が進められているとは! さぞかし大変だろう。
立ち退きにあった多くの人々…更地にするため壊された古い建物…予算の金額も…。さて、この事業は一体何なのか?
調べてみると、それは東京都市計画の環状2号線といわれ外堀通りにつながる道路を建設する事業であった。海側へは地下トンネルを通って汐留、有明にぬける。虎ノ門から新橋にかけて、1・35キロメートルの道路は通称「マッカーサー道路」とも呼ばれているそうだ。
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戦後の1946年に、虎ノ門にあるアメリカ大使館から竹芝桟橋まで幅100メートルの軍用道路の設備を計画したとされる。名前の由来はGHQ(連合国軍総司令部)のトップであったダグラス・マッカーサー元帥の名前にちなんだらしい。
しかし、ネットでさらに調べていくと、マッカーサー本人は幅広い道路の必要性を感じず工事そのものに反対したともある。
自分は、この計画を全く知らなかった。60年以上の計画事業が長年凍結され2003年には事業化、2005年に着工し始めており、完成は2013年の予定だ。
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アメリカには、マッカーサ元帥の名がついた、通りや学校は数多くある。ロサンゼルス・ダウンタウン近くにはマッカーサー・パークという公園もある。マッカーサーの名前が出てくると、歴史の重みというか、一種の哀愁まで感じる。
「マッカーサー道路」は戦後、アメリカが日本復興に大いに協力してくれた遺産として、完成したら大いに利用したい。過去、現在そして未来への親密な日米関係を象徴し、「友好」と「平和」の思いを込めて…。【長土居政史】