リージョナルコネクター事業について説明するLTCC交通委員会のクリス・アイハラ委員長(左)

 メトロのリージョナルコネクター事業(メトロレール接続)の環境アセスメント(EIS/EIR)最終版が公表されたことを受け、小東京協議会(LTCC)は1日、コミュニティーフォーラムを開催。小東京の住民や事業主、コミュニティーリーダーら約80人が集まり、同最終版を受け入れるとともに、既存のビジネス存続を訴えることで足並みをそろえた。
 小東京コミュニティーが長年にわたり訴えていた①駐車場問題②工事期間中のビジネスへの影響③工事による直接的、間接的損害補償—といった懸念事項に対し、メトロはEIS/EIR最終版の中で、①市、駐車場オーナー、ビジネスオーナーと協力し、工事で失われる駐車場の確保を約束、利用者の利便性を考え、バレーパーキングやシャトルバス提供も考慮②ビジネスの営業を知らせる告知や看板の提供、クーポンの配付やメトロ職員や工事作業員に小東京のレストラン利用呼びかけなど、マーケティングや販売促進の協力を約束③小東京の一角に補償対策本部を設置し、コミュニティーのニーズや懸念に随時対応—と回答した。
長期にわたる工事でビジネスへの影響を懸念、支援を求めるレストラン「スエヒロ」のオーナー鈴木健司さん

 フォーラムでは、小東京のビジネスオーナーや住民が意見を述べた。1972年開業のレストラン「スエヒロ」の二代目オーナー鈴木健司さんは、同鉄道が小東京に恩恵をもたらすのは間違いないと歓迎した上で、「願うのは、開通の時にわれわれも残っていたい。それだけです」と、家族経営の店にとって長期にわたる工事が「命取り」になる可能性もあると示唆。工事中に廃業にならぬよう、安全網の保証をあらためて求めた。鈴木さんは、「金銭的な援助を求めているのではなく、今まで通り営業し続けられる環境を整え、保証してもらいたい」と訴えた。
 LTCCの岡本雅夫議長は、具体策に欠ける部分もあるとしながらも、「コミュニティーの懸念に耳を傾け、誠意を持って対応してくれたメトロに満足している」と述べた。
 LTCCは、①工事中に必要なビジネスマーケティングのための費用②工事中に発生した損害に対する迅速な補償(14日以内)③シャトルバス起用などといった駐車場問題対策—の3点を盛り込んだ嘆願書を承認、ジャン・ペリー市議らをはじめ関係者に同調を求めた後、メトロに提出する。
 メトロは7日(火)午後2時から3時半までコルバーン音楽学校(200 S. Grand Ave.)、また8日(水)午後6時半から8時まで全米日系人博物館(369 E. 1st St.)でオープンハウスを開く。EIS/EIR最終版を閲覧できるほか、メトロ関係者が同席。日本語、韓国語、スペイン語の通訳もある。
 一般からの意見は21日(火)まで投書やメールで受け付けており、15日(水)午後1時からメトロ本社で開かれる設計製作委員会(Planning and Programming Committee)での公聴会を経て、23日(木)のメトロ理事会で同案の最終決定が下される。詳細は電話213・922・6934または800・252・9040。意見は日本語でも構わない。送り先は—
 regionalconnector@metro.net 
 または郵送で
 Dolores Roybal-Saltarelli
 One Gateway Plaza, 99-22-2 
 Los Angeles, CA 90012
 LTCCのフォーラムではこの他、125年の歴史を持つ小東京で現在進行しているアートパークやロサンゼルス武道館、ブロック8建設などの説明も行われた。LTCCでは、年に1、2回同様なコミュニティーフォーラムを開いている。詳細はホームページで—
 www.littletokyola.org
【中村良子、写真も】

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