小東京タワーズの入居条件は、62歳以上の低所得者に限られる。家賃は、収入または給付されるソーシャルセキュリティーの3分の1と安いため、引退者にとって人気が高い。また、日系のスーパーや飲食店、病院、寺院などにも歩いて安全に行くことができ住みやすい。韓国街にも近いことから近年、韓国人の入居が増えている。
応募者の日本人女性は、友人から入居募集を知った。約25マイル離れたグレンドーラに住むため、早朝に並ぶのは無理だと判断し、タワーズに住む友人宅に泊めてもらった。午前2時に外から物音がして見てみると、応募の列ができていたため慌てて並んだ。その一番乗りは、10人ほどの韓国人グループで牧師に伴われ小型バスで来たという。同女性によると牧師らが熱いお茶とクッキーを差し入れてくれ、早朝で冷え込んでいたため、ありがたかったと話した。
トーレンスに住む60代後半の日本人夫婦は、羅府新報の記事で募集を知り、午前8時に着いた。住宅建設会社を営んでいるが、引退後の収入減を見越して入居を考えた。タワーズの魅力は「500〜600ドルで住めて安く、車をドライブせずに歩いて動くことができる立地条件の良さ。家のメンテナンスの必要もない」と説明。入居できれば、タワーズ隣りの東本願寺の会員になりたいと話していた。
ガーデナ・バプティスト教会元牧師の天野邦彦・栄子夫妻は、メソジスト教会の牧師から募集を知らされ、午前6時半に到着し170番目の整理券を渡された。「車を運転しないので、ここはとても便利。ガーデナやトーレンスも住みやすいけど、日本の文化的プログラムが充実している」と述べ、入居の順番が早く回って来てほしいと願っていた。
午前8時過ぎから申込用紙が配布された。必要事項をすべて英語で書き込まなければならないが、漏れなく記入するのは高齢者にとって困難なため、南加キリスト教連合と羅府仏教会連合が合同し、ソーシャルワーカーを派遣したリトル東京サービスセンター協力の下、東本願寺で記入方法の指導が行われ約100人が参加した。両団体は先月、入居のためのワークショップを開き、約200人を集めた。そのため今回は、これまでで最多の日本人が応募したとみられる。
センテナリー合同教会の久山康彦牧師によると、タワーズは公的住宅のため入居者を人種で偏りなく平等に扱うために黒人やラテン系社会を中心に募集情報が与えられ、日本人はすでに多くが住んでいるため日系社会には知らされなかったという。また、特定の人を優先的に入居させることもない。韓国人が多く住むようになった理由を久山牧師は、次のように説明する。「韓国社会はソーシャルワーカーの活動が活発で、アメリカの福祉サービスを熟知していて、住宅情報をフルに活用している。1人の希望者が数カ所の違った低所得者住宅を申し込んでいて、小東京タワーズはその内の1つに過ぎない」
入居希望者は、小東京タワーズ事務所に直接行って申し込む。受理されてから、入居の順番待ちリストに名前が載る。これまでは、入居までに3年から5年ほどかかったというが、管理人のジャッキー・ペントシェフさんは「『何年』とはっきりとは言うことはできないが、待ち時間は短縮されるだろう」と述べた。【永田潤、写真も】