日本の食材を隠し味として使っているという杉浦さん。いりこ・昆布だしのうま味の利いたスープと、こうや豆腐をグリルで焼いたオードブルを調理。また、東日本大震災の被災地仙台産の味噌を紹介し、復興を後押しした。向上心のある生徒からは、だしの取り方で「いりこと、昆布の違いは」などの質問も出た。もう1人の講師で、ウエストハリウッドの「アジア・デ・キューバ」の総料理長、トロイ・トンプソンさんは、デザートのマカロンの素材で、本来のアーモンドパウダーの代用にそば粉を練って焼き、和の風味を出した。
農水省出向の松本修一領事は、ロサンゼルスはさまざまな国の料理があり日本食材の入手も容易と指摘し、料理人にとって恵まれた環境にあると説明する。シェフの卵に向け「日本の食材を使って新たな料理に挑戦、開発して、レパートリーを広げてもらいたい」と期待を寄せた。
JETRO・LAの小林浩人所長は、日本の食材を普及させる手段として、料理人や業者などプロに伝える方が一般よりも早いとし、講習会を開いたという。「ゆずなどを洋食に利かせることで、料理のグレードが上がる。
共同貿易は、かつお節や干し椎茸、ワカメ、地酒などの食材紹介や、そば打ちと包丁研ぎの講習会を開いた。同社の戦略は、家庭よりもレストランから売り込んで攻めるもので、イベント主催者の意図と合致し参加した。フュージョン料理で、LAよりも先を行くニューヨークに4年間勤務し、事情に詳しい山本耕生社長は「フレンチやイタリアンなど西洋料理に日本食がどんどん入り込んでいる」と説明。さらなる日本食の普及について「日本の伝統的な食材が、メキシカンなど世界の料理と融合すれば、もっと伸びていくだろう。可能性は無限に広がる」と話し、前途ある若い生徒に期待を寄せた。
同校に2年通うミシェル・トンプソンさんは、授業で日本食を習ったことがあるが、今回初めて日本の食材が洋食や他の料理に活用できることを学び収穫とした。将来はアメリカ料理を主体に、すしと刺身を軸にした日本食も取り入れたフュージョン料理のケータリング会社を持つことを夢に見「今日学んだことを生かして、日本の食材のことももっと勉強して、いろんな創作料理を作りたい」と抱負を述べた。【永田潤、写真も】