16日に日本経団連のシンクタンク、21世紀政策研究所が発表した2050年までの長期経済予測によると、日本は人口減少や市場縮小などのマイナス要素が拡大し、今後40年以内に先進国から脱落する可能性が高いと発表した。
 人口減少については随分前から指摘されており、国の存続にかかわる重大な問題だ。
 積極的な女性の活用、移民の受け入れなどを提言しているが、出生率増加のための実効性のある政策は取られていない。
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 同じように人口減少問題を抱えていたフランスは、シラク3原則①子どもを持つことによって新たな経済的負担が生じないようにする②無料の保育所を完備する③女性が育児休暇から職場復帰するときは、その3年間ずっと勤務していたものとみなし、企業は受け入れなくてはいけない―と呼ばれる政策を政府がしっかりと進めた結果、出生率が1・66%と最低であった94年以降から増加し、この約20年間2%前後で推移している。
 女性にとって、出産・子育てと就労に関して幅広い選択肢と環境が整えば、出生率は増加するということが証明されている。
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 日本の現状はどうか。経済状況の悪化に伴い、子供を保育所に預けて働きたい女性の数は増加しているが、待機児童と呼ばれる保育所に申請しても入所できない子供の数は一向に改善されず、厚生労働省のまとめでは2010年10月現在で約5万人。
 特に東京都世田谷区では680人前後と過去3年間待機児童の数が最も多いため、2012年度の一般会計予算案は前年に比べて2・5%減少しているものの、前年度よりも8億7500万多い132億7500万円を計上した。
 子供を生みたくても、環境改善には程遠い。個々の自治体での取り組みにも限界がある。
 政府や厚生労働省のHPを見るとすでにフランスの政策研究はされているようだ。あとは速やかに政策決定をし、実行を期待する。【下井庸子】

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