舞台は特別出演の正派若柳流「華の会」、若柳久三師の「島の千歳」で華やかに幕を開けた。客演には宮城流筝曲、走辺洋美師社中や 琉球古典舞踊玉城流の比嘉直哉師らを迎え、舞台に花を添えた。
日本舞踊の古典というと年期や費用がかかり、難しいといったことから若い世代に定着していかないのが現状だという。
そんな中、日本だけにとどまらず中国や韓国など、アジア各地の伝統音楽をアメリカの人々に伝える場を作ることを目的に、5年前にNPO「アジア伝統音楽協会」を設立。同会はその中の日本部門となっている。
「伝統舞踊を見て『きれいだな』と思ってもらい、数多く紹介する場を増やしていくことが今後の課題」と同師は力を込める。
初めて日本舞踊を見たというサイプレス在住のナンシー、ダン・ミルソン夫妻は「踊りに加え、ダンサーの指先の所作一つひとつにも美しさが際立ち感動した。たとえ唄の内容が理解できなくても、日本舞踊は見る人を圧倒させる」と述べ、舞台を楽しんだようだった。
会場では生徒自らが創作したかんざしの販売も行われ、売り上げは東日本大震災の復興支援金として被災地に送られる。
またこの日はイースター(復活祭)の祝日と重なり、「観客に春を感じてもらいたい」との思いから、休憩時間には表千家同門会南加支部の傘下で、オレンジ郡で優和会を主宰する田中宗優師によるお茶も振る舞われ、春を意識した和やかな雰囲気が漂っていた。
【吉田純子、写真も】